全国各地にある「分割できない土地」
「高級住宅街には分割できない土地があるって聞いたことがあるけど、うちは関係ないから……」
そう思っている方もいらっしゃるかもしれません。
実は土地の分割制限は高級住宅街だけの話ではありません。全国各地で、意外に身近な場所にも存在しているのです。
「住民協定」と「最低敷地面積の制限」
土地の分割を制限するルールには、大きく分けてふたつのパターンがあります。
ひとつは「住民協定」です。たとえば、東京の高級住宅地・田園調布では「165平方メートル未満に土地を分割してはいけない」というルールがあります。これは住民が自分たちで決めたルールで、法的な拘束力はないものの、実質的に土地の分割を不可能にする強力な縛りとなっています。
ふたつ目は「最低敷地面積の制限」です。これは行政が定めるもので、たとえば「60平方メートル以下に分割してはいけない」といった規制があります。100平方メートルの土地を持っていても、50平方メートルずつに2等分するといったことはできないのです。
高級住宅街以外でも要注意
最低敷地面積の制限は、なにも高級住宅街だけではありません。普通の住宅地でも、細かく区切られることで街並みが悪くなることを防ぐため、多くの地域で設けられています。「うちは普通の住宅地だから大丈夫」と思っていても、いざ相続の際に兄弟で分けようとしたら「分割できません」と言われるケースは決して珍しくないのです。
行政も住民協定には口出しできない
住民協定の厄介なところは、行政に訴えても助けてもらえないことです。「それは皆さんが決めたルールですよね。法律ではありませんから」と取り合ってもらえません。
住民が決めたルールなので、住民同士で解決するしかないのですが、高級住宅街の住民が「街の品格を保つため」に作ったルールを変更するのは、現実的には非常に困難です。
調べ方は意外に簡単
自分の土地にこうした制限があるかどうかは、意外と簡単に調べることができます。
自分の住む場所の市役所、区役所、町役場の都市計画課で、「最低敷地面積の制限があるかどうか教えてください」と聞けば教えてもらえます。また、東京23区なら、区役所のホームページの都市計画に関するところを見れば、最低敷地面積について記載されている場合もあります。住民協定については、地域の不動産会社や町内会に聞いてみると情報を得られることが多いです。
分割制限がある土地の相続対策
こうした制限を知らずに相続を迎えると、事例の3人兄弟のように争うことになりかねません。事前に調べておけば、対策を立てることができます。
たとえば、分割できない土地なら、生前に現金で分けられるよう生命保険を活用したり、「家を売ってお金を分ける」という合意を親が元気なうちに取り付けておいたりするのです。
また、お隣に足りない分を譲ってもらうという交渉ができる場合もあります。通路部分が1.8メートルしかなくて建て替えができない旗竿地(はたざおち)の場合、お隣から20センチ分を買い取ることで、建築基準法の定める2メートルをクリアして建て替え可能な土地にできることもあるのです。
まずは現状把握から
相続対策の第一歩は、現状を正しく把握することです。自分の土地がどのような制限を受けているのか、まずは調べてみることをおすすめします。
高橋 大樹
不動産相続アーキテクツ株式会社 代表取締役
宅地建物取引士・一級建築士
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