今回は、マンションリフォームの施工業者選びのポイントを見ていきます。※本連載は、マンション維持管理支援・専門家ネットワークの編著書『Q&Aマンションリフォームのツボ―管理組合・居住者が知っておくべきトラブル予防・解決の必須知識』(民事法研究会)の中から一部を抜粋し、リフォームにまつわるトラブルを防止し、マンション全体の資産価値の向上にもつながるリフォームの基礎知識を具体例とともに紹介します。

「見積書のサンプル」で分かるリフォーム業者の実力

リフォームを依頼する施工業者はどのように選べばよいのでしょうか。

 

マンションリフォームの分野には、さまざまな施工業者が存在しており、中には工事規模を500万円以下に特化することで建設業の許可を得ずに営業している施工業者もあります。リフォームの基本的な作業を適切に実行できる施工業者を選んでください。

 

リフォームを依頼するためには、設計図書の作成、これに基づく見積書の作成、工事請負契約書の締結という流れが必要です。

 

設計図書の作成は、建築士(設計事務所)に依頼することもできますし、リフォーム業者の中には、設計と工事をあわせてまとめて請け負うところもあります。設計・監理を設計事務所に依頼することのメリットについては、次回を参照してください。

 

設計図書は事前に工事内容を確認するために大切な書類であり、これがないと工事中にトラブルが発生した場合の責任が不明確になってしまいます。設計と工事をあわせて依頼する場合でも、設計図書を作成しなかったり、いい加減な図面しか出さないリフォーム業者への依頼は控えるべきです。

 

見積書はリフォーム業者が作成する書類です。これにより工事内容と金額が確認できますが、一式計上が多い見積書だと、リフォーム業者が工事内容を十分に理解していないおそれがあります。工事中に変更が生じた場合の精算でもトラブルが生じることもあります。見積書のサンプルを見せてもらうことでリフォーム業者の実力を確かめることができます。

重要なポイントとなる「マンション」での工事経験

リフォーム業者によっては、工事請負契約書を締結せず、いきなり工事を始めることがあります。契約書はトラブルが生じた場合の重要な書類であり、これを軽んじるリフォーム業者に工事は依頼できません。

 

このほか、マンションでの工事経験は重要なポイントです。工事そのものの技術に加え、管理組合への手続や隣接住戸への配慮、専有部分と共用部分の認識もリフォーム業者に求めたい能力です。

 

建設業法の許可を受けずともできる工事はありますが、許可を取得しているということ自体業態が整っているということになりますので、未取得業者よりは安心といえます。

 

また、万が一を考え、瑕疵保険を掛けることが可能です。この保険は施工業者が掛ける保険ですので、この保険を掛けてもらうことを契約の内容に含めておく必要があります。

本連載は、2015年12月1日刊行の書籍『Q&Aマンションリフォームのツボ―管理組合・居住者が知っておくべきトラブル予防・解決の必須知識』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない場合もございますので、あらかじめご了承ください。

Q&Aマンションリフォームのツボ―管理組合・居住者が知っておくべきトラブル予防・解決の必須知識

Q&Aマンションリフォームのツボ―管理組合・居住者が知っておくべきトラブル予防・解決の必須知識

民事法研究会

マンションを終の棲家と考え、買替えではなく、同じ場所に長く住み続けたいという需要の増加で、マンションリフォームの需要が高まりをみせてます。他方、リフォームに関する法規制は不十分で、専門知識や技術のない業者が多く…

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