前回は、金利の上昇にも備えた不動産ローン活用のポイントを説明しました。今回は、築年数と家賃収入の関係にまつわる「誤解」について見ていきます。

古い物件でも、需要が多ければ家賃は下がらない

<ケース紹介>

 

Jさんはマンション投資に興味があるものの、何年も経つうちにマンションの家賃が下がってしまうのではないかと心配で、なかなか始められずにいました。

 

しかし、Jさんはセミナーで、古いマンションでも新築物件と変わらないような家賃を払っている人がいると知ったときに、職場の先輩が築30年ほどの都内のワンルームマンションに家賃10万円で住んでいることを思い出しました。

 

家賃がどう決まるかのご説明をしたところ、賃貸需要がある場所で物件を所有すれば、家賃下落についてそれほど神経質にならなくてもいいと考えるようになり、さっそくマンション投資を始めています。

 

<説明>

 

「築年数が経過すれば家賃が必ず下がる」

 

こういうイメージを持っている方もいらっしゃると思いますが、すべてにそれがあてはまるわけではありません。賃貸需要があるかどうか、需要に対して供給が多いか少ないかがポイントです。

 

需要と供給を考えたとき、需要が高ければ家賃が安定します。一律に、古くなると家賃が下がるわけではないのです。

 

東京都内、特に23区内であれば、単身者の需要は高いです。しかし、それに対して供給はさほど多くありません。東京23区内の駅から徒歩10分圏内の土地は限られており、かつ建築規制というものがあるために、そんなに多くの数のマンションを建てることはできないのです。

 

例えば、都心3区には以下のような規制があり、マンションの建築が制限されています。東京23区は、それぞれの区に同様の建築規制があるため、ワンルームマンションの供給がしづらくなっています。

 

【東京23 区のワンルームマンション建設規制】

 

①千代田区

 

<規制内容>

●専用面積25㎡以上:総戸数が20以上になる場合ファミリー向け住戸(40㎡以上)の専有面積の合計が、全住戸の専有面積の合計の1/3以上にする

<規制法令>

指導要綱

 

②港区

 

<規制内容>

●専用面積25㎡以上:30戸以上で家族向け住宅(50㎡以上)を、(総戸数−29)×1/5+1戸以上

●専用面積25㎡以上、商業地域内は総戸数の1/2未満は専有面積20㎡以上:30戸以上で家族向け住宅(50㎡以上)を、(総戸数−29)×1/10+1戸以上

<規制法令>

条例

 

③中央区

 

<規制内容>

●専用面積25㎡以上:総戸数が10以上になる場合、定住型住宅(40㎡以上)の専用面積の合計が住宅の用途に供する面積の合計の1/3以上

<規制法令>

条例

 

※各区役所資料より作成

物価が上昇すると、家賃も上がる傾向にある

<アドバイス>

 

ちなみに、家賃は需給バランスに加えて物価の影響を受ける傾向にあります。

 

以下の図表を見ても、消費者物価指数と家賃指数がリンクしていることがわかります。総務省統計局の資料によると、1983年の東京都の家賃相場は、なんと4万9501円でした。ここ数十年において、物価の上昇とともに家賃が上がっている部屋もあるのです。

 

[図表]家賃水準と消費者物価は連動する傾向がある

総務省統計局「基準消費者物価指数」より作成
総務省統計局「基準消費者物価指数」より作成

 

そういう意味でも、築年数が経つにつれて必ず家賃が下がるというわけではありません。ですから、物価上昇時に現金の価値は目減りしてしまいますが、家賃収入があれば資産を守ることができるのです。

本連載は、2016年12月27日刊行の書籍『目指せ自立女子! 23歳からの不動産投資術』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

目指せ自立女子! 23歳からの不動産投資術

目指せ自立女子! 23歳からの不動産投資術

北野 小百合

幻冬舎メディアコンサルティング

将来に不安を持つ20代女子のための一冊。 ・まだ投資は早いかと思っている ・何からすれば良いかわからない ・投資=難しいと思っている ・お金がたくさん必要だと思っている (お金持ちじゃないとできない) ・将来に対して…

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