専門家の視点|「辞める・辞めない」の前に確認したい4つのこと
「もう辞めたいのに、妻が辞めさせてくれない」
そんな状況は、懸命に働いてきた人ほどつらく感じるかもしれません。しかし、配偶者の反対は必ずしも冷たい言葉ではありません。老後の家計を考える際は、資産額だけで判断しないことが重要です。
早期リタイアを検討する前に、以下の4つのポイントを確認しておきましょう。
1.夫婦の年間支出のリアルな試算
退職後は通勤費や交際費が減る一方で、旅行や趣味などの支出が増えるケースもあります。また、医療費や介護費、家の修繕費などの確保も必要です。現在の生活費だけでなく、「どのような老後を送りたいか」「用意しておくべきお金はいくらか」まで含めて必要資金を考える必要があります。
2.公的年金の見込み額
特に会社員の場合、60歳以降も厚生年金に加入して働けば将来の年金額が増える可能性があります。また、年金の繰下げ受給を活用すれば受給額を増やすこともできます。退職時期によって老後の収支は大きく変わるため、夫婦の年金額は必ず確認しましょう。
3.退職後の「居場所」
仕事を辞めることはゴールではありません。趣味や地域活動、再雇用や短時間勤務など、社会との接点をどのように維持するかによって満足度は大きく変わります。
4.お互いの健康状態
体力や持病によって、働き続ける選択肢の幅は大きく変わります。反対に、健康なうちしかできない経験や挑戦もあります。
幸一さん夫婦は「週3日の再雇用」という形で、お金と時間のバランスをとる解決策を選びました。ただ、勤務日数が減る(あるいは将来的に完全リタイアする)以上、夫婦が一緒に過ごす時間は以前より確実に増えていきます。
今後は、お互いに一人の時間を楽しめるよう別のコミュニティを作ったり、家の中でそれぞれのプライベート空間を確保したり、家事分担を明確にするなど、心地よい距離感を保つための工夫を少しずつ重ねていくことが、長い老後を円満に過ごすための鍵となるでしょう。
退職は人生の大きな転機だからこそ、「辞めるか・続けるか」の二択に縛られず、自分たちらしい働き方と暮らし方を夫婦で共有することが大切です。
新井智美
トータルマネーコンサルタント
CFP®
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