「俺はATMじゃないぞ」58歳メーカー社員の切ない叫び。資産6,500万円突破で“60歳で完全リタイア”を望んだが…妻が拒絶した「まさかの理由」【CFPの助言】

「俺はATMじゃないぞ」58歳メーカー社員の切ない叫び。資産6,500万円突破で“60歳で完全リタイア”を望んだが…妻が拒絶した「まさかの理由」【CFPの助言】
(※写真はイメージです/PIXTA)

65歳、70歳まで働くのが当たり前の時代。その一方で、「もう十分に働いた。そろそろ自分の時間を大切にしたい」――そう考えて、早期リタイアを望む人は少なくありません。しかし、家族がいる場合、そう簡単に退職できないのが実情です。今回は、資産は十分あるのに退職を認めてもらえず悩む50代会社員を例に、このような“リタイアを巡る家族のすれ違い”に対する考え方や夫婦で老後設計を話し合う際のポイントについて、トータルマネーコンサルタント・CFPの新井智美氏が解説します。

妻の不安はむしろ「夫と一緒に過ごす時間」

雅子さんが不安を感じていた理由は、お金だけではありません。「夫が家にずっといる」――むしろこれこそが、拒否感の根幹にあったのです。

 

長年、幸一さんは仕事中心の生活を送っていました。平日は帰宅が遅く、休日もゴルフや接待で不在がち。一方で、週3日・短時間勤務で家にいる時間を自由に楽しんでいた雅子さん。夫婦それぞれに生活リズムが確立されていました。

 

そのため雅子さんは、「毎日家にいるようになったら、お互いにストレスが増えるかもしれない」という不安も抱えていたのです。65歳になれば年齢的に仕方がないと割り切れても、それが5年も前倒しになることは避けたかった。これが彼女の本音でした。

夫婦の話し合いで決めた着地点

幸一さんが求めていたのは、単に仕事を辞めることではありません。長年仕事中心だった人生の中で、「これから何のために生きるのか」を考え始めていたのです。一方、雅子さんが求めていたのは「目減りしていく資産への安心」と「自分の時間の確保」でした。

 

どちらが正しいという話ではありません。見ている方向が違っていただけなのです。その後、夫婦は話し合いを重ねました。

 

結果として、幸一さんは60歳で完全退職するのではなく、週3日勤務の再雇用を選択することに決めました。収入は年250万円程度に減りますが、自由な時間も増えます。さらに、65歳から受け取れる年金も年間6万円程度増えます。

 

幸一さんは、雅子さんも無理に働き続ける必要はないと考えていましたが、雅子さん自身は今のバランスが気に入っていました。お互いに休みをずらすことで、自分の時間もある程度キープできて、さらに老後資金への不安も少なくなります。

 

互いの胸の内を明かし合ったことで、双方の希望を叶える最適な「中間地点」を見つけることができたのです。

 

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