「俺はATMじゃないぞ」58歳メーカー社員の切ない叫び。資産6,500万円突破で“60歳で完全リタイア”を望んだが…妻が拒絶した「まさかの理由」【CFPの助言】

「俺はATMじゃないぞ」58歳メーカー社員の切ない叫び。資産6,500万円突破で“60歳で完全リタイア”を望んだが…妻が拒絶した「まさかの理由」【CFPの助言】
(※写真はイメージです/PIXTA)

65歳、70歳まで働くのが当たり前の時代。その一方で、「もう十分に働いた。そろそろ自分の時間を大切にしたい」――そう考えて、早期リタイアを望む人は少なくありません。しかし、家族がいる場合、そう簡単に退職できないのが実情です。今回は、資産は十分あるのに退職を認めてもらえず悩む50代会社員を例に、このような“リタイアを巡る家族のすれ違い”に対する考え方や夫婦で老後設計を話し合う際のポイントについて、トータルマネーコンサルタント・CFPの新井智美氏が解説します。

資産6,500万円で老後は乗り切れるのか?

まず検証したいのが、「6,500万円の金融資産があれば、本当に十分なのか?」という点です。

 

仮に60歳で退職し、65歳まで夫婦で毎月30万円の生活費がかかるとすれば、5年間で必要になる金額は約1,800万円。さらに、住宅修繕費、予期せぬ医療費や介護費、旅行代などを考慮すると、2,000万円以上が必要になる可能性は十分に考えられます。わずか5年で2,000万円以上が失われる――。そう考えると、雅子さんが不安を抱くのも無理はありません。

 

厚生労働省の「令和6年簡易生命表」によると、日本人の平均寿命は男性81.09歳、女性87.13歳です。さらに65歳男性の平均余命は約20年であり、平均的な男性でも85歳前後まで生きる計算です。60歳で退職したら、少なくとも25年間老後が続くことを想定しなければなりません。

 

60歳以降も働けば勤労収入が得られるだけでなく、厚生年金加入期間が延びることで年金額も増えます。例えば、年収850万円程度で働いていた会社員が60歳以降も厚生年金に加入し続けた場合、加入期間が5年延びることで年間10万~20万円程度、条件によってはそれ以上年金額が増えるケースがあります。

 

働かなければ、年金額は60歳時点の加入実績で確定されます。この違いは、決して小さなものではありません。

 

しかし、「では、足りないのか?」といえば、そうともいえません。

 

夫婦の年金収入が概算で月27~28万円前後、支出を現役時代と同等で月30万円を想定すると、資産から補填する額は年間50万円にも満たないため、計算上は十分足ります。幸一さんが資産の一部を運用し続ければ、分配金や売却益も期待できるでしょう。そのうえ、住宅という資産もあります。

 

ただし、投資には暴落リスクがつきまといます。また、幸一さんの夢である旅行や趣味にどれだけお金を投じるか、将来的に有料老人ホームへの入居を希望するかどうかでも、必要額は変わります。

 

つまり、この先どのように老後を過ごし、何にどれだけお金を使いたいかを具体的にシミュレーションしない限り、「6,500万円あるから絶対に安全」とも「足りない」とも言い切れないのです。

 

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