日本でも取り組み始める人が増えている投資信託。その一方で、利益を得ることが難しいという声も多く聞きます。本連載では、そんな投資信託を取り巻く現状について解説をしたうえで、いま実践したい運用手法等についてお伝えしていきます。今回は、日本の投資家にも人気の高い「米国リート」について取り上げます。

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投資信託の基本的な仕組みとメリット

日本でも投資信託を保有されている方が増えてきており、投資信託の純資産総額は約100兆円にまで増加しています。

 

そもそも投資信託とは、多くのお客様(投資家)から集めた資金を、運用の専門家(運用会社)が、国内外の株式や債券等に投資して運用する商品です。投資信託の運用成果はお客様(投資家)の投資額に応じて分配されます。

 

個人では投資するのが難しい国や地域を含めて、世界中から金融商品を選別し投資できること、少額(ほとんどの投資信託が1万円)から投資できること、いつでも購入・解約が出来ることなど、投資信託の仕組み自体にはメリットも多いのですが、実際には個人投資家の方々の評判はあまり良くありません。投資信託で儲かったという成功体験をされた方が少ないことも、その要因のひとつとして考えられます。

 

この連載の前半では、なぜ日本の投資信託では利益が出にくいのかを、具体的な事例を交えて解説していきます。また連載の後半では、欧米などを参考にして、お勧めできる運用手法を紹介したいと思います。

 

近年注目度が高まっている米国リート投信

筆者のもとには2016年の秋頃から、米国リート投信(海外リート投信)に関するご質問が数多く寄せられるようになっています。

 

リート(REIT)とはReal Estate Investment Trustの略で、不動産投資信託のことです。多くの投資家から資金を集めて「不動産」を購入し、そこから生じる賃料や売却益を投資家に分配する商品です。

 

米国リート投信は、米国の不動産リートに投資する商品です。つまり、米国の不動産に投資をし、そこからの不動産賃料収入や売却益を配当原資にしています。

 

この米国リート投信を含めて海外リート投信は大変人気のある商品で、現在、投資信託の純資産残高TOP10のうち、米国リートが4本、その他の海外リートが2本と、計6本がランクインしています。

 

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実質的な利回りに対して高すぎる分配金利回り

この米国リート投信で気になるのは、高水準の分配金をキープしていることです。

 

リーマンショック後から2014年頃までは、リート市況の上昇と円安により実質利回りが年率15%~20%程度確保出来ており、高い分配金を出しても基準価額は下落せずに済みました。

 

現在の米国リート投信(海外リート投信)の実質利回りは年率3%~5%程度。しかし、直近の分配金利回りは年率25%程度出ており、投信の時価である基準価額維持するには、この差の20%程度を埋める必要が生じます。

 

例えば、基準価額が10,000円の場合、実質利回り分500円(年率5%)を投資家に支払うと、基準価額は9,500円になります。しかし、現状の分配金利回り分2,500円(年率25%)を支払えば、基準価額は7,500円に下落します。

 

このように実質利回りに比較して、分配金利回りが大きく上回っている場合は、基準価額は下落していきます。

 

そのため基準価額が下がらないように維持するには、米国、海外リートの上昇や為替の円安など今後、年間20%以上の値上がり益が必要となります。

 

すでに、減配を行った投信会社も出てきています。この決断は、評価すべきだと思いますが、減配後の分配金利回りも年率17%前後と依然と高いままです。そのため、基準価額を維持するには、毎年、15%前後の値上がり益が必要な状態です。

海外リート市場で大きなシェアを占める日本からの投資

今回の減配が直接の要因かどうかは別にして、資産運用の評価会社であるイボットソン・アソシエイツのデータによると、2016年12月の海外リート型投信の資本流出額は1,660億円となっています。

 

海外リート市場の規模は約100兆円強で、日本からは投資信託経由で8~10兆円の資金が流入しています。今後、日本からの米国リート投信(海外リート投信)の解約が多くなると、海外リート市場への影響も懸念されます。そのため、今後の海外リート型投信の資金動向には注意する必要がありそうです。

 

現在、米国のリート価額(配当込み)はリーマンショック前の不動産バブル時の水準を超えて上昇しています。

 

結論として、分配金が多く出ることだけで判断されず、今後の米国、海外リート市場をどう見るかで投資を判断して下さい。

 

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本連載は、一般的な投資信託の仕組みなどを紹介することを目的にしています。投資を促したり、筆者が所属する「幻冬舎アセットマネジメント」に勧誘することを目的としたものではありません。また、投資にはリスクがあります。リスクに十分に考慮をして、投資判断を行ってください。本連載の内容に関して投資した結果につきましては、著者及び幻冬舎グループはいかなる責任も負いかねます。

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