最終回の今回は、市民自らが出資者となって再生可能エネルギー発電を事業化し、地域活性化につなげていくという展望をお伝えします。※本連載は、東京大学大学院の技術経営戦略学専攻特任教授である阿部力也氏の著書、『デジタルグリッド』(エネルギーフォーラム)の中から一部を抜粋し、電力自由化・インターネット化で大きな転機を迎えている、電力業界の実情を見ていきます。

レバレッジをかければ高利回りも期待可能

前回の続きです。

 

さらには、このようなふるさと電気の購入者たちは発電所ツアーなどを通じて、ふるさとに親しみを持ち、新しい発電機の設置に関わるようになるかもしれません。このような人たちを集めて新しい発電機の株主になってもらう、というようなことも起きてくるでしょう。

 

例えば太陽光発電設備を設置する時、このような人たちから集めたお金を資本金として、不足分を低い金利で銀行などから調達できれば、小さな発電プロジェクトが誕生します。

 

例えば、資本金が30パーセント、借入金が70パーセントだとします。借入金の返済金利を仮に2パーセントとします。この発電所が発生した電気は地元で地産地消します。その結果、利益率が5パーセントあったとします。

 

そうすると、資本金の利益率は(100×5パーセント-70×2パーセント)÷30=12パーセントというような計算になります。これは極めて単純化した計算ですが、緻密に計算しても、基本はそれほど外れてはいません。

 

発電機の株主になった市民は12%もの高い利益率を得ることができるということになります。30パーセントの投資で100パーセント事業を実現しました。このようなことを、レバレッジをかけるといいます。

 

レバレッジとはテコのことです。テコの原理を使うと、小さな力で大きなものを動かすことができますよね。

「市民ファンド×再生可能エネルギー発電」

風力発電プロジェクトやソーラー発電プロジェクトにおいて、小さな投資で大きなプロェクトを実現して、高い収益を得るということがよく行われます。このようなプロジェクトにお金の融資をすることをプロジェクトファイナンスといいます。

 

小さな投資は、再エネの場合、市民ファンドというような形で集められる場合があります。この方法は再エネプロジェクトなどにおいて、まとまった投資が必要な場合に極めて有効な方法なのです。

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