今回は、各電力会社が毎年支払っている「燃料費」についてお伝えします。※本連載は、東京大学大学院の技術経営戦略学専攻特任教授である阿部力也氏の著書、『デジタルグリッド』(エネルギーフォーラム)の中から一部を抜粋し、電力自由化・インターネット化で大きな転機を迎えている、電力業界の実情を見ていきます。

原油価格や為替レートで大きく左右される燃料費

各電力会社の有価証券報告書「平成27年度決算(平成27/4~平成28/3期)」から26年度とH27年度の燃料費を比較してみます。

9電力合計で、平成26年度の燃料費は7兆2347億円、平成27年度の燃料費は4兆4747億円でした。

 

大変大きく変動していますが、これは、原油価格や、為替レートの変化によるものです。燃料消費量が大きく変化したわけではありません。平成26年度は、原油価格が1バレル100ドル前後で推移しました。平成27年度は、原油価格が1バレル60ドル前後に下がり、平成28年は40ドル近辺で推移しています。

 

為替レートは、平成26年度中は100円から110円くらいで推移しました。平成27年度中は108円から123円と円安になっています。

 

その結果、平成26 年度7.2兆円、平成27年度4.5兆円が燃料費として、ほとんどすべて外国に流出したということになります。

再生可能エネルギーを活用して燃料費支出を削減

このようにして、需要家が支払っている電気料金の2~3割強が毎年国外へ流出し、しかも非常に不安定な動きをしているのです。

 

まずはこの流出を止めるべきです。

 

再エネによる発電を行って、年間5兆円~7兆円の金額を、国外流出から地方流入に転換するということができないでしょうか?

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