(※写真はイメージです/PIXTA)

高齢の親と離れて暮らしていると、日々の連絡が“安否確認”の役割を果たすことがあります。特別な会話ではなくても、「今日は暖かいね」「スーパーに行ってきたよ」といった何気ないメッセージが届くだけで安心する――そんな親子も少なくありません。しかし、その“いつも通り”が突然途切れたとき、不安は一気に現実味を帯びます。

「迷惑をかけたくなかった」…高齢の親が抱える“孤立” 

幸い、和子さんに意識はありました。ただ、自力では立ち上がれない状態だったといいます。

 

前日の午後、台所で足を滑らせて転倒。その際に腰を強く打ち、動けなくなってしまったのです。スマートフォンは別の部屋に置いたままで、助けを呼ぶこともできませんでした。

 

「母は、“大丈夫だから”と言ってはいました。でも、かなり怖かったと思います」

 

病院で検査を受けた結果、大きな骨折はなかったものの、しばらく安静が必要だと診断されました。剛さんが衝撃を受けたのは、その後に母が口にした言葉でした。

 

「迷惑をかけたくなかったのよ」

 

実は和子さん、以前から足腰の衰えを感じていたものの、息子にはあまり話していなかったといいます。

 

高齢者の転倒は要介護状態につながる大きな要因のひとつとされています。また、高齢者本人が「家族に心配をかけたくない」と考え、体調不良や生活上の不安を隠すケースも少なくありません。

 

剛さんは、それまで「まだ元気だから大丈夫」と考えていました。実際、母は買い物も自分でこなし、近所付き合いもありました。

 

「でも、“普通に生活しているように見える”ことと、“安全に暮らせている”ことは違ったんだと気づきました」

 

その後、剛さんは実家に手すりを設置し、見守りサービスも導入。毎日のLINEだけでなく、定期的に顔を見に行くよう生活を変えました。

 

「もっと早く考えるべきだったのかもしれません」

 

一方で、和子さんも少しずつ考えを変え始めています。

 

「今までは、“一人で頑張らないと”と思っていた。でも、頼れるところは頼ったほうがいいのかもしれないね」

 

高齢の親との距離感は難しいものです。元気そうに見えても、ある日突然、生活が大きく変わることがあります。小さな違和感を見逃さないことが、これからますます重要になっていくのかもしれません。

 

 

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