30代後半の娘たちに、毎月のように食料を渡し続ける69歳の母。夫婦の限られた年金と減りゆく貯蓄のなか、物価高に震えながらも、母が娘たちに援助し続ける理由とは?

「親の役割」を失いたくないシニアたち

本来なら、子育ても終わり、もう自分たちの老後を優先していい時期。しかし、「親は子どもに与えるもの」という感覚が抜けず、援助をやめることに罪悪感を抱いたり、親の役割を失いたくないと考えるシニアは少なくありません。

 

総務省「家計調査(2025年)」によると、65歳以上の無職夫婦世帯では、年金などの可処分所得を消費支出が上回る状況が続いています。物価高で、食費や光熱費の負担感も一段と増しています。

 

もちろん、子どもや孫に何かしてあげたいと思う気持ち自体は、ごく自然なことです。ただ、その援助によって親自身の老後資金が削られ、不安を抱えながら暮らす状況になってしまっては、本末転倒です。

 

親が無理をしてまで支えていたと後から知れば、子ども側も複雑な思いを抱くかもしれません。だからこそ、「どこまでなら無理なく続けられるか」を一度立ち止まって考えることも大切です。

 

毎回大量に持たせるのではなく、今月は少しだけにしようと量を減らす。外食代は割り勘にする。「最近物価が高くて」と正直に話してみる。そうした小さな線引きが、親自身の老後を守ることにもつながります。

 

洋子さんも最近、「このまま続けるのは、もう無理かもしれない」と感じ始めたといいます。それでも、スーパーの特売コーナーを見ると、つい娘たちの顔が浮かんでしまう――。

 

「貯金が減っていくことより、娘たちに頼られなくなる、必要とされなくなる怖さのほうが勝ってしまうのかもしれません」

 

そう苦笑いする洋子さんの言葉には、多くのシニアが共感する部分があるのかもしれません。

 

 

 

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