国が示す“公的年金の位置づけ”を読み解く
それでは、政府は公的年金をどのような位置づけで考えているのでしょうか?
厚生労働省の公的資料では、基礎年金について次のように説明されています。社会保障審議会年金部会の資料では、
と記載されています。さらに、厚生労働省が公的年金制度の考え方をまとめた資料でも、
といった説明があります。こういった文章を読むと、多くの人たちが「贅沢をしなければ老後の生活は年金で守られる」と思ってしまうのではないでしょうか?
ですが、厚労省や年金部会の公的資料では、保障されるべき「生活内容」や「金額水準」を直接書いた定義は、どこにも出てきません。そして、この「どこまでが基礎的部分か」を、あえて細かく書いていないこと自体が、国民の期待と現実のギャップを生みやすくしているといえると思います。
公的資料では、次のような明確な記載もあります。
〇本来、健康で文化的な最低限度の生活は、国民の自助努力によって達成されることが基本であり、老後の生活についても、公的年金を中核としつつ勤労収入や私的年金貯蓄等の自助努力を組み合わせて必要な費用を賄うことを基本におくべきである。
〇公的年金は、現役時代に働いて収入を得ていたものが、高齢により収入を失うことを補填する予防的な性格を持つものである。
したがって、年金制度の基本的な考え方は、現役時代に働いて収入を得て、自立した生活に必要な一定の生活基盤を構築している者を念頭に置いて、現役時代の保険料納付実績に見合った年金を、(中略)原則として受給時の個々の生活状況に関わりなく、一律に支給するものである。
社会保障審議会年金部会の資料でも続けて、
と記載しています。つまり、政府は同じ資料群のなかで、はっきりと「公的年金だけに全面的に頼るのではなく、私的年金や貯蓄等との組み合わせが前提であり、老後の生活費のすべてを公的年金が賄うわけではない」という立場も、繰り返し明示しているのです。
