最も鍵となる「アメリカ経済」の動向をどう見るか?
はたして日本の株価は、今後どう動いていくのか。読者の皆さんが一番知りたいところはまさにここでしょう。
日本と世界は緊密に連動しています。株価の未来を予測するには、グローバルな視点を欠かすことができません。まず最初に、直近の世界情勢を見ていきましょう。
世界情勢といえば、まずはアメリカ経済の動向が鍵です。アメリカは2008年のリーマン・ショック後、歴史的な大金融緩和を行ないました。バブル崩壊で20年余のデフレ不況に苦しんだ日本と同じ轍を踏まないため、未曾有ともいわれる量的金融緩和を行ないました。
アメリカ経済の現状を一言で説明するならば、2015年の年末にようやく量的金融緩和に終止符が打たれ、いよいよデフレの出口に向かっている、そのプロセスにあるということになります。言い方を変えれば、“適度なインフレ”に向かおうとしている。
そのインフレへの扉の鍵となるのが、FRB(アメリカの中央銀行の政策決定機関である連邦準備制度理事会)による利上げ観測です。
利上げができればインフレ経済への扉が開く。
ところがFRBのジャネット・イエレン議長は、思い切った金融引き締め、利上げの方向に踏み込めないでいる状況なのです。
理由のひとつは想定外の世界経済のリスクが表面化し始めたこと。もうひとつは、アメリカ大統領選挙でトランプが勝利したことです。トランプ新大統領はイエレン議長を信頼していません。今後、ますます金融政策の舵取りは難しくなるでしょう。2016年12月という大方の予想通り、イエレンは利上げができるのかどうか。
バブル級の「トランプ景気」がやって来る!?
2016年12月に利上げが行われる可能性は、たしかにゼロとはいえません。なぜならアメリカの雇用に力強い回復が見えてきているからです。景気指標は良い結果、悪い結果が混在しているので評価はそう簡単にはできません。
トランプは、「私が大統領になったらイエレン議長をクビにする」と公言してきました。そのトランプ大統領の登場で、イエレン議長の金融政策の選択は、一層狭まるのではないでしょうか。
トランプは、もちろんインフレ論者です。適度な利上げは容認するでしょう。しかし株価や不動産市場にマイナスになるような政策は好みません。トランプが選ぶ、財務長官や金融スタッフの顔ぶれがそろうまで、イエレン議長は慎重な振る舞いにならざるを得ないでしょう。
トランプは大幅減税を公約にしています。減税で景気を刺激し、株価や不動産市場の上昇を目指してくるはずです。財政出動もやってくるでしょう。2017年の米国経済は、これまでのゆるやかな成長と打って変わって、トランプ景気、バブル経済のような様相を呈すると私は予想します。