年間1000店舗のペースで増加しているコインランドリー業界。 本連載では、コインランドリー経営をひとつの「ビジネス」として捉え、「事業」として成功させるために必要なノウハウを紹介します。

高利回りの投資としてのコインランドリー経営は限界!?

ここまで4度目のコインランドリーブームに沸く業界の現状を伝えるとともに、日本のコインランドリーの創生期から今日までの歴史を振り返り、コインランドリー業界の抱える問題点についても考えてきました。

 

そこから見えてきたのは、無人店舗による高利回りの投資としてのコインランドリー経営は、そろそろ限界がくるのではないかということでした。著書『手堅く・長期的な利益を得るコインランドリービジネス新常識』の1章で私は次のような問題提起をしています。

 

①事件や事故をきっかけに、いつ有人化が義務づけられてもおかしくない

②有人化によって、コインランドリーはローリスク・ハイリターンの投資対象ではなくな

③個人経営のコインランドリーの時代は終わって、これからは事業としてのコインランド
リーの時代がくる

④個人レベルの投資額で高いリターンが得られた時代はそろそろ終わりを迎える

 

ひと言でまとめれば、有人化と事業化をキーワードに日本のコインランドリーは大きく変わろうとしている、また変わっていかないとダメなんだということです。

 

有人化の必然性と必要性については、著書『手堅く・長期的な利益を得るコインランドリービジネス新常識』の1章で繰り返し述べてきましたので、十分おわかりいただけたと思います。そもそも本書は、経営者であれビジネスマンであれ、新しい事業のタネを探している人に読んでいただきたいと思って書きはじめたものです。私が読んでほしいと考えているそうした人たちにとっては、事業とは人材あってのもので、これまでコインランドリー業界が無人店舗でここまで業績を伸ばしてきたことの方に驚いているのではないかと思います。

 

これまでコインランドリー業界は無人店舗を前提にすべてを考えていましたから、店舗を有人化し、さまざまなサービスを展開する余地は無限にあるといえます。

超繁盛店でもほとんどの時間で機械が遊んでいる実情

たとえば年間1000万円売り上げるコインランドリーで、洗濯機1台あたり1日にどれくらい動いていると思いますか。3時間でしょうか。4時間でしょうか。もしそんなに稼働していたら軽く倍の2000万円は売り上げてしまいます。

 

実際には年間1000万円売り上げる超繁盛店でも、洗濯機は1台あたり1日に2時間動いていたらいい方です。乾燥機などは、せいぜい1時間ぐらいなものです。ほとんどの時間、機械は遊んでいるのが実情なのです。実にもったいない。とくに乾燥機は冬場など冷たい状態から暖めるのに、ものすごくガスを喰います。1人のお客様が使うために冷え切った状態からめいっぱいガスを使って乾燥機自体を暖めます。そして次のお客様をまつわけですが、なかなか来ない。ようやく次のお客様がきた頃には、完全に冷え切っている。その繰り返しです。冷え切った乾燥機を使うお客様と、暖まった乾燥機を次に使うお客様とでは、本当は料金を区別したいぐらい使用するガスの量が違うのです。

 

オーナーとしては、いったん暖まった乾燥機があったら、それをお客様にも、どんどん使ってほしいというのが、本音です。お客様も、乾燥機にさわってみて、もし暖かいのがあれば、そこに洗濯ものを入れて乾燥させた方が、時間も料金も節約できます。冷め切った乾燥機なら2回必要なところが、暖まった乾燥機を見つければ1回で済むこともあります。

 

もし店舗が無人でなくスタッフが配置されていたとすれば、暖まった乾燥機の洗濯ものを取りだして保管スペースに移し、新しいお客様をすでに暖まった乾燥機に誘導することができるでしょう。

 

しかし、今までコインランドリーは無人営業があたり前だったので、機械の稼働していない時間をなんとかしようとか、乾燥機の使い方を工夫して経費を抑えようという発想がなかったのです。

手堅く・長期的な利益を得る コインランドリービジネス新常識

手堅く・長期的な利益を得る コインランドリービジネス新常識

鈴木 國夫

幻冬舎メディアコンサルティング

「ローリスク・ハイリターン」な投資先として近年注目を集めるコインランドリー。しかし実際のところ、コインランドリーは本当に儲かるビジネスなのか? 本書では、業界に携わって37年のベテラン社長が、業界の歴史から最近の…

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