売る側にとってはコストダウンにつながるが…
初めてセミナーにご参加いただいたお客様より質問された、羊羹型アパートについてお話し致します。羊羹型アパートとは、玄関を入るとまず水廻りがあり、その奥に居室があるという間取りのお部屋が、横並びに配置されているアパートのことです。外側から見ると、玄関ドアが横一列に等間隔に並んでいます。「アパート」と聞いて、みなさんがパッと思い浮かべるアパートのことです。
[図表]
お客様からいただいた質問は、次のようなものでした。
「他社で売っているアパートは、羊羹型のアパートがほとんどだと思うのですが、具体的になぜダメなのですか?ダメなら普通造らないでしょう?」
確かにどの業者も、羊羹型のアパートを販売しています。一般的に考えて、デメリットがあるものは、造らない、売らないと、考えがちですが、売る側の考え方によって、どのようにでも解釈できますから、デメリットと捉えていないのか、わかっていても売る側のメリットのために、あえて販売しているのかもしれません。
売る側のメリットといえば、ズバリ低コストで建築できること。外壁材のサイディングの枚数や、柱の本数、ボードの枚数などが少なく済みます。また、屋根の構造も単純ですし、角部屋が少ないためサッシの数も限られます。何より、設計が単純なので人件費がかからず、アウトソーシングも容易。すべてにおいて、コストダウンに繋がる羊羹型は、売る側にとって最大の魅力です。ですから、少しくらいのデメリットには目をつむるのです。
しかし、売る側にとっては少しのデメリットかもしれませんが、住む人にとっては、大きなデメリットになります。住む人にとって大きなデメリットは、当然オーナー様にとっても大きなデメリット。借りる人がいなくなるからです。
1階の中部屋は住める状況ではない!?
では何がそんなにデメリットなのか?大きく二つ挙げられます。
一つには騒音の問題。羊羹型アパートの場合、壁1枚で隣の部屋。
「隣の声が丸聞こえ。テレビの音まで聞こえます」
羊羹型の場合、よく聞くセリフです。特に挟まれた中部屋は悲惨。1階の中部屋は、住める状況ではないと言っても過言ではありません。上からも両サイドからも音に悩まされます。そのため、空室率の高い部屋となってしまいます。
二つ目に、湿気の問題。窓が少ない各部屋は、風通しが悪く、梅雨時期などカビが発生するケースも多々あります。さらに1階の中部屋は、床下からの湿気により、カビ発生リスクも高まります。考えただけでもあまり住みたくありません。
いかがでしょうか?このような状況を避けるため、弊社では全室角部屋になるよう間取りを工夫しています。窓を多く取ることで、風通しも良く快適に過ごせます。各居室を水回りなどで仕切る工夫をしていますので、隣の騒音に悩まされることもありません。
入居者が快適に住める間取りにするため、一現場ごとに、これがベストと思えるまで、何度も設計し直します。何を隠そう、弊社は営業マンより設計士のほうが多い会社です。その分、弊社の建築原価は高くなりますが、アパートの販売価格には、それを反映させていません。従って、薄利となります。
それが功を奏し、今では、「お買い得だし、何よりも安心」ということがお客様にも認知され、各支店好評頂いております。
良いものを創り、喜ばれる仕事をすることで信頼関係の輪が広がり、結果的に、会社の繁栄へとつながるものと信じ、日々精進して参りましたが、どうやら間違いではなかったようです。