(※写真はイメージです/PIXTA)

親の死後、実家に残された通帳の行方がわからない……。そんな「よくある不安」が、想像を絶する身内の相続トラブルに発展することがあります。長男の暴力から逃れてきた母を看取った53歳の妹。手探りで相続税申告を済ませた2年後、突然やってきた税務調査によって「まさかの真実」を突きつけられます。実家に居座る兄が、〈母の資産1億円〉を勝手に引き出していたのです。なぜ税務署に使い込みがバレたのか。そして泥沼の訴訟へ発展した兄妹の末路とは。本記事では、親の財産と家族を守るためのルールを、税理士の根津拓矢氏が解説します。

「通帳がない…」兄から逃れた母の死後、手探りで行った相続税申告

「母さんのお金、勝手に引き出して使ってたの……? あんな酷い事をして家から追い出したうえに、そんなことまでするなんてあり得ない……」

 

アキコさん(仮名・53歳)は、金融機関の入出金記録を見て、言葉を失いました。亡き母・ヨシエさん(仮名・享年85)の相続税申告から約2年後に入った、税務調査での出来事です。

 

数年前、ヨシエさんは長男のタロウさん(仮名・55歳)と実家で同居していました。しかし、タロウさんのアルコール依存と暴力により生活は破綻。身の危険を感じたヨシエさんは逃げるようにアキコさんの元へ身を寄せましたが、1年後に息を引き取りました。

 

「母は急いで実家を出たため、通帳やカードの一部を置いたままでした。私も実家には近づきたくなくて……」

 

ヨシエさんの資産を正確に把握しきれず、アキコさんは手元にある資料だけで、やむなく相続税申告を行いました。

 

一方で、実家に住むタロウさんも別の税理士に依頼し、独自に申告を済ませていたとのこと。

 

申告から2年後、アキコさんの元に税務調査の連絡が入ります。

 

調査官から提示されたのは、母名義口座の入出金を一覧化した資料でした。そこには、実家周辺のATMから限度額に近い現金が繰り返し引き出されている履歴が並んでいたのです。

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