「借り手のニーズ」を把握していない間取りとは?
建物に関しては、
①ニーズ通りの間取り
②ニーズを網羅した設備
③高付加価値仕様
以上の3項目に分けて述べたいと思います。
まずは、「①ニーズ通りの間取り」から。
販売する業者側が、エリアのニーズを把握していなかった場合、大変なことになります。アパートが完成しても入居者が入りません。
その典型的な例として、郊外に単身専用の1Kロフトを販売するケースが挙げられます。ニーズを把握していないというより、する気がないと言ったほうが良いのでしょうか?なぜなら、郊外には簡単に利回りの回る土地がゴロゴロしており、売り上げアップには、そこにアパートを建てるのが手っ取り早いからです。
どうして利回りが回りやすいかと申しますと、簡単なことですが、土地が安いからです。安い土地(単身の市場ではないところです)に、都心部とあまり変わらない家賃設定で同じ規格のアパートをプランするわけですから、楽ですし簡単です。
本当なら、1LDK以上でのプランニングをするべきなのでしょうが、そうすると戸数が減る分、思ったように利益も上がりませんし、面倒な土地の値段交渉をしなければ、収支が合わなくなります。
というわけで、1Kロフトへと流されるのですが、そもそもニーズがない場所にいくらお洒落に建てても、入らないものは入らないのです。
「1Kロフトや1ルーム」はいまや飽和状態
購入を検討されるお客様にも、少々ご忠告。
1Kタイプにすることで戸数を増やし、空室リスクを分散したい、とおっしゃる方がいらっしゃいますが、いくら戸数を増やそうと、ニーズがなければリスクを増やしているだけ。考え物です。
それでは、ニーズがあればOKなのかということですが、そんな簡単な話ではありません。今や、1Kロフトや1ROOMは飽和状態です。にもかかわらず、入居者の細かいニーズを無視して成り立つほどアパート経営は甘くありません。
それでも1Kロフトを建てるのであれば、間取、設備、仕様と、入居者の細かい希望の全てをクリアした物件だけが、「アパート経営の成功」を約束されるのだと心しておくことです。
では希望をクリアするとはどういうことかを具体的にご説明します。
まず一つは、使い勝手の良いこと。漠然と、間取りを見てもわかりにくいと思いますが、実際に内見すると、お洒落だけど使いにくい、ということが多々あります。
「どうして階段でいちいち下がらなきゃいけないの?」とか、「収納が少なすぎるし、ここに仕切り戸がないからエアコンが効かないかも」とか、間取りによっては、「家具の配置が難しそう」など。
怖いのは、一度そのような意見を耳にした賃貸ショップの担当者が、別のお客様を案内するときに、その部屋の紹介を避けるようになることです。時間の無駄になるからです。案内してもらえない以上、入居率がガタ落ちとなります。
部屋が広ければ良いのでは?ということも考えられますが、利回りとの兼ね合いで、限界があります。ですから、我々販売する側がやらなければならないことは、デザイン性だけでなく、限られたスペースの中で、居住性を高め、ストレスをなくし、快適な生活を送れるように間取りを工夫し差別化することです。
オーナーになられる方は、そんな間取りのアパートを選ぶことです。