事前に「ストーリー」を考えれば必要な備えが分かる
2016年4月、折しも東日本大震災から5年が経ち、自然災害の恐ろしさに対する私たちの記憶が薄れかかった頃、九州で熊本地震が発生しました。熊本城の石垣が無残にも崩壊した姿は、私たちに自然災害への備えの必要性を改めて認識させるものでした。
今回の熊本の地震は、次なる大地震を誘発する可能性があると言われています。その地震とは、南海トラフ大地震です。
大規模な地震が来たときの「ストーリー」を事前に考えておくだけで、何をどう備えれば良いかが見えてきます。まずは、命を守るための方策をストーリーから見つけていきましょう。
停電、物資不足、寒さ…地震によって陥る状況とは?
地震が発生するとどのような場面に遭遇するでしょうか。考えていくと、その方策が見えてきます。なお、地震下での状況は、熊本地震や東日本大震災で被災した多くの方々への実際のインタビューを基に構成したものです。
●部屋中がモノで散乱し、備蓄しておいた避難物資が見つかりづらい(特に電池やライターなどの小さいものが見当たらない)
→夜であればなおさら見つかりづらくなる
●電話がつながらないので家族と連絡が取れない
→不安が増殖する
●テレビが見られないのでオンタイムの情報が入手できない
→人や声、情報を求めて屋外に出る動機になる
●避難所がどこなのかわからない
→皆についていく
●家では家具が倒れ、食器が割れ、本棚から本が落ちるなど落下物が散乱。スーパーやコンビニでは商品棚から商品が崩れ落ちて散乱
→思考が麻痺する
●崩れたブロックが道をふさぎ、道路に亀裂も見られる。安全に歩けない
→動くことすらままならない
●マンションやビルのエレベーターは停電で動かない
→屋内待機となりがちとなる
●停電が続き、夜になると辺りは真っ暗
→家にいても何もできない
●オール電化の住宅では停電になるとお湯さえわかせない
→屋内にいることの不便さが際立ってくる
●カセットコンロも寿命があり、暖をとるためには使えない
→インフラとしてのガスのありがたみが身にしみてわかる
●期限切れの電池しか見つからない
→電池は寿命があり、せいぜい3年しか持たない
●携帯電話のメールだけは使えたが、あちこちから安否確認やお見舞いの連絡が入り、あっという間にバッテリーが切れてしまった
→インフラとしての電力がない中で屋内生活は困難となる
●停電が続く限り、夜は真っ暗闇。不安に押しつぶされそうになる
→余震も続き、屋内で暮らしていくことが精神的に困難となっていく