実体経済を支える「確実な成長シナリオ」
こうしたマクロ経済の動揺に対し、実体経済を支える「物理的基盤」は着実な進展を見せています。特筆すべきは、JICA(日本国際協力機構)の支援による大型鉄道プロジェクトが、コスト増という困難を克服し、予定通り(オンスケジュール)に進行している点です。マニラ首都圏地下鉄(MMSP)や南北通勤鉄道(NSCR)の建設現場では、世界的な資材価格の上昇に直面しながらも、工期遵守に向けた強い執行力が示されています。
マルコス大統領も3月23日、441億7,000万ペソの追加予算投入を承認しました。政府が財政面からインフラ開発を強力にバックアップする姿勢を鮮明にしたことは、投資家にとっての大きな信頼醸成につながります。
鉄道網の整備は単なる移動手段の拡充に留まりません。これはマニラ周辺の経済圏を劇的に拡大し、沿線不動産の価値を根本から塗り替える「ゲームチェンジャー」となります。為替や金利が不透明な動向を示すなかでも、完成に向かって着実に進むインフラ整備は、数少ない「蓋然性の高い成長シナリオ」と言えるでしょう。総じて、フィリピン経済は外部ショックへの脆弱性を抱えつつも、強力なインフラ投資と輸出の好調によって成長のモメンタムを維持しています。
中央銀行の慎重な舵取りと政府による予算投入は、長期的にはポジティブな投資環境を形成するはずです。投資家には、為替や物価の短期的なボラティリティに備えつつ、鉄道網の完成がもたらす構造的な地殻変動を捉える、長期的な視座が不可欠です。
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