(※写真はイメージです/PIXTA)

住宅ローンは「年収に対して無理がないか」で判断されがちですが、実際には家族構成や役割分担といった前提に大きく依存しています。共働きか専業主婦か、育児や家事を誰が担っているかによって、同じ収入でも家計の安定性は大きく異なります。とくに予期せぬ出来事によってその前提が崩れたとき、表面上は問題のないはずだった住宅ローンが、生活全体を揺るがす要因となることがあります。

想定外…住宅ローンの問題に直面

さらに、健太さんが直面したのが住宅ローンの問題でした。

 

健太さんが加入していたのは、自身を対象とする通常の団体信用生命保険でした。一般的な団信は、加入者が死亡または所定の高度障害状態になった場合に債務弁済の対象となります。

 

一方、夫婦のどちらかに万一のことがあった場合に残債全体が弁済されるのは、「デュエット」のような夫婦連生型に加入している場合です。つまり健太さんが生きている以上、妻の死亡によってローン返済義務が消えることはありませんでした。

 

「契約の内容を見れば当然なのかもしれません。でも、家族に何かあったときの備えを“自分が死んだ場合”しか考えていなかったんです」

 

この認識のズレが、健太さんにとっては大きな衝撃だったといいます。

 

健太さんの年収だけを見れば、ローン返済そのものは継続可能でした。問題は、返済に加えて、子育てと生活の維持に必要な支出が一気に増えたことでした。

 

自宅は通勤利便性と子育て環境を重視して選んだものでしたが、その広さと立地は、専業主婦の妻が家庭を回していた前提で成り立っていた面も大きかったのです。

 

加えて、医療費や急な出費に対する不安もありました。高額療養費制度では、医療費の自己負担には年齢や所得に応じた上限が設けられていますが、それでも日常のキャッシュフロー不安が消えるわけではありません。健太さんは「制度があっても、暮らし全体の負担までは埋まらない」と感じたといいます。

 

健太さんは最終的に、ファイナンシャルプランナーと金融機関に相談し、家計を見直しました。教育費の見通し、外注費、将来の働き方、保険の受取額などを整理した結果、「今の家を無理なく維持するには、かなり強い節約か働き方の見直しが必要」という現実が見えてきたといいます。

 

そこで健太さんは、購入から数年しかたっていなかったものの、自宅の売却を含めて検討を始めました。

 

「家を買ったときは、ここで家族4人で長く暮らすつもりでした。でも、その前提自体がなくなってしまった以上、感情だけでは決められないと思いました」

 

 \3月20日(金)-22日(日)限定配信/
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