息子の隔週訪問が転機に
状況を重く見た大輔さんは、隔週で実家を訪れることを決めました。通帳や保険証券を整理し、毎月の固定費を一覧にまとめ、ゴミ出しのカレンダーを冷蔵庫に貼るだけでなく、簡単な料理を一緒に作り、買い物にも同行しました。
重要なのは、すべてを代わりに行うのではなく、健一さん自身ができることを少しずつ増やすことでした。
同時に、地域のシニア向け体操教室への参加をすすめました。最初は消極的だった健一さんも、顔見知りができると外出の機会が増え、服装や身だしなみにも再び気を配るようになったといいます。
老後の備えは「金額」だけでは足りない
健一さんのケースが示しているのは、老後の安心は「資産額」だけでは決まらないという現実です。5,000万円の貯蓄があっても、生活力と人間関係が失われれば、心身は急速に衰えます。
夫婦が元気なうちにできる備えは明確です。
・家計や契約情報を夫婦で共有する
・退職前から家事を分担し、自分で完結できる家事を持つ
・家庭外の居場所をつくる
「誰かの役に立っている」という実感を持てる環境が、何よりの防波堤になります。お金は大切ですが、それ以上に大切なのは、ひとりになっても回る生活の仕組みと、人とのつながりを絶やさないことです。
老後の本当の備えとは何か。健一さんの変化は、その問いを私たちに突きつけています。
新井智美
トータルマネーコンサルタント
CFP®
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