減り続ける老後資金に不安を募らせる年金暮らし。そんな中、「自分も資産を増やしたい」とNISAで投資を始めた佐々木さんでしたが、資産減少とは違う「思わぬ弊害」が待ち受けていました。それはいったい何だったのか……見ていきましょう。

スマホから目を離せない日々

佐々木さんは、毎日何度もスマホで基準価額を見るようになります。更新は1回だけなので、何度もチェックしても意味はない。そう分かっていても、見ずにいられないのです。

 

「昨日より下がってる……」

 

そんな日があると、一日中気分が落ち込みます。逆に数千円上がっただけで、安心する。そんな日々の繰り返し。下落が続くと「NISAなんて勧めるなよ」と、ストレスでスマホを床に投げつけることすらあったといいます。

 

半年ほど保有した結果、米国株ファンドは触れ込み通り、上下はありつつも少しずつ増えています。しかし、お金の悩みを軽くしたいと始めた投資によって、以前よりもずっとお金のことで頭がいっぱいでした。

 

佐々木さんは「毎日スマホばっかり見ている。これが“良い老後の過ごし方”といえるのか?」……そう気づいたのです。

老後に大切なのは「大きく増やすこと」より「安心して続けられること」

佐々木さんは投資を見直しました。ファンドの一部を売却し、投資額を約120万円まで縮小。残りは毎月2万円の積立に変更しました。

 

すると、以前よりも値動きが気にならなくなり、毎日何度も価格を見てしまうこともなくなりました。あわせて生活費も見直したといいます。「節約は大変だけど自分でコントロールできますから。何も手を出せない投資のストレスより気楽かもしれません」と笑います。

 

佐々木さんのように、見直しをしたことで気持ちが楽になるケースも少なくありません。老後の投資は若い世代の資産形成とは違い、「大きく増やすこと」よりも「安心して続けられること」が重要になるからです。

 

どれほど期待リターンの高い商品であっても、値動きに一喜一憂し、毎日価格を確認してしまうようでは、生活そのものが落ち着かなくなってしまいます。資産が増えていたとしても、不安やストレスが増えてしまっては本末転倒です。

 

また、ファンドはそれ自体に分散効果があり、米国株ファンドはその人気を裏付けるリターン(実績)もあります。とはいえ、投資に100%はありません。

 

リターンは過去の話であり「この先絶対に損をしない」とは言い切れず、また、仮にリーマンショックのような暴落が起きた時、シニアの場合はリカバリーまで待つ時間がない可能性があることも考慮する必要があります。

 

一方で、預金だけでは増えないし、物価上昇に対応できないという不安も否定できません。そのため、自分の性格や生活状況に合わせて無理のない範囲で資産を分けていくことが、現実的な選択といえるでしょう。

 

 

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