非嫡出子が生まれる場合、相続と資産管理はどう変わるのか
日本では、婚姻関係のない男女のあいだに生まれた子どもを「非嫡出子」と呼びます。かつては法定相続分が嫡出子の2分の1に制限されていましたが、2013年の最高裁大法廷決定を受けた民法改正により、現在は嫡出子と同等の相続権が認められています。
母子関係は出生により当然に成立し、娘が未婚のまま子どもを産んだとしても、その子どもは娘の正式な法定相続人です。一方、これから生まれてくる孫にとっての祖父母にあたる橘家の相続については、娘が生存している限り、孫には法定相続権は自動的には発生しません。孫が橘家の遺産を相続できるのは、娘が祖父母より先に亡くなった場合の代襲相続、または遺言による遺贈や養子縁組を行った場合に限られます。
問題はそれだけではありません。相手の男性が認知を行った場合、その子どもは父親側の相続権も発生します。橘さんの孫が、まったく面識のない外国籍の男性の家族とも法的に結びつくことになるわけです。
「資産が、どこにどう流れるかわからなくなる恐怖がありました」と橘さんはいいます。
「選択的シングルマザー」の増加
現在、日本における非嫡出子の出生割合は約2.4%と、欧米諸国(フランス約61%、スウェーデン約55%)と比べると著しく低い水準です。しかし、女性の経済的自立が進んだことで「選択的シングルマザー」の数は静かに増加しており、都市部の高学歴・高収入女性を中心にその傾向が顕著になっています。
橘さんの娘のように月収100万円を超える女性が、あえて婚姻を選ばずに子どもを持つケースは、もはや例外とは言い切れない時代です。
「娘の自立心は誇らしいとも思う。ただ、私が守ってきたものはなんだったのか、という気持ちも正直あります」
橘さんのその言葉には、父親としての誇りと、時代への戸惑いが混在していました。

