面接で感じた「年齢の壁」…見つかった最初の仕事
妻は求人情報誌やハローワークを通じて仕事を探し始めました。しかし、思った以上に難しいことも分かってきます。
「履歴書を書くのも久しぶりで」
面接では「長く働けますか」と聞かれることもありました。体力や健康状態を気にされる場面が多く、年齢の壁を意識することもあったといいます。それでも妻は「できる範囲で働きたい」と率直に伝え続けました。
数週間後、ようやく採用されたのはスーパーの品出しの仕事でした。週3日、1日4時間の勤務です。
「久しぶりに働いた日は、足がパンパンでした」
それでも帰宅した妻の表情はどこか明るかったと、夫は振り返ります。収入は月5万円ほどと大きな額ではありませんが、家計には確かな変化が生まれました。
「赤字が減りました」
それ以上に大きかったのは心理的な安心だったと妻は言います。
「働いているという感覚があると、不安が少し軽くなるんです」
高齢期に働く理由は生活費だけではありません。社会との接点を持つことや生活のリズムを保つことも大きな意味を持ちます。
「若い頃は、定年後はのんびり暮らすものだと思っていました」
妻はそう振り返ります。しかし実際には老後の生活は想像より長く、支出も少なくありません。
「働くことも、老後の生活の一部なのかもしれませんね」
現在、夫妻の生活には少し変化が生まれました。朝、妻がパートに出かけると、夫が家事を担当することも増えています。
「夕飯は私が作ることも増えました」
夫は笑います。年金だけでは足りない——その一言をきっかけに、夫婦の生活は少しずつ変わりました。いまではそれが、二人にとって新しい生活の形になっています。
老後の暮らし方は一つではありません。働き続けることもまた、多くの人にとって現実的な選択肢になりつつあります。
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