30年前は「今の日本」と同じだったのに…GDPは日本の1.37倍、スウェーデンが「専業主婦社会」から共働き社会へと変われた理由

30年前は「今の日本」と同じだったのに…GDPは日本の1.37倍、スウェーデンが「専業主婦社会」から共働き社会へと変われた理由
(※写真はイメージです/PIXTA)

労働時間は短いのに、一人当たりのGDPは日本の1.37倍。経済力で日本に大差をつけるスウェーデン。その繁栄の分岐点は、「性別分業は生まれ持ったものではなく、社会が形づくった規範に過ぎない」と再定義した瞬間にあった。60年代後半、経済発展のために女性の労働力を不可欠とした彼らは、国家を挙げて「男性が稼ぎ、女性が支える」という旧来の雇用慣行を解体したのだ。しかし、理想への道のりは平坦ではなく、70年代から90年代にかけては、女性が家庭外で働く機会を得たものの、家事や育児という無償の仕事が依然として女性に偏る状況が続く。結果として、女性が仕事と家庭の「二重の負担」を抱えることとなったこの数十年は、社会のあり方を根底から問い直す試行錯誤の連続であった。佐藤吉宗氏の著書『子育ても仕事もうまくいく 無理しすぎないスウェーデン人』(日経BP)より、かつての専業主婦大国がいかにして世界屈指の男女平等と経済成長を両立させるに至るまでの、初期の葛藤と変革のプロセスを紐解いていく。

性別分業は「形づくられたもの」

こうした社会的背景の中、60年代は、若い世代の女性を中心に、これまでの性別分業のあり方を疑問視する人が増え、社会を変えることで、男女問わず自らの力を生かせるようにすべきだ、という声が次第に高まった時期でもある。

 

彼らの主張の基本にある考え方は、男性らしさや女性らしさといった性差は、生まれ持った生物学的特徴ではなく、周囲が自分に期待し課してきた社会規範に適応することで形づくられてきたものだ、という考え方だった。このため、男性が稼ぎ、女性が子育てや家事を担うという性別分業も、社会規範や社会制度・政策を変えることでなくしていけると考えた。

 

彼らが理想として掲げたのは、男性と女性がともに家庭外では働き、家庭内では家事と育児を分担する社会、そして、女性が男性に依存することなく経済的に自立できる社会。その実現に向けて世論を喚起していった。

 

60年代後半に高まった「夫婦2人が稼ぐ社会」の追求

60年代後半は、ベトナム反戦運動やアメリカの公民権運動などの影響を受けて、世界中で若い世代が既成の社会構造を批判する運動を起こしていた。男女平等を求めるスウェーデンでの運動も、そのうねりの中で大きな声となっていった。

 

社会民主党やリベラル政党の中でも、これらの運動に呼応する形で、女性の労働環境の改善と男女間の賃金格差の是正を求める声や「夫婦が2人で稼ぐ社会」を追求する声が高まっていった。

男女平等に欠かせない男性の「変化」と「責任」

政権党であった社会民主党は党内外のこれらの声を無視できなくなった。そこで、69年から首相となったオロフ・パルメ氏は、男女平等を国の主要な政策課題の一つとして位置づけ、改革に着手したのである。

 

パルメ首相は、72年に内閣直属の男女平等諮問委員会を設けることを決めたが、その際の演説の中で「男女平等のためには、女性に関する条件の変化だけでなく、男性に関する条件の変化が求められる。そのような変化によって、女性の雇用機会を充実させ、男性にも家事や育児の責任を担わせる必要がある」と述べた。

 

このように、スウェーデンではこの頃から、男女平等の実現には女性だけでなく男性の変化と責任も必要だという考えが明確に示されていた。

 

女性を取り巻く環境を変えたり、女性にばかり変化や努力を求めたりするだけでは不十分だということである。

 

 

佐藤 吉宗

SEB

シニア・データサイエンティスト

 

 

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※本連載は、佐藤吉宗氏による著書『子育ても仕事もうまくいく 無理しすぎないスウェーデン人』(日経BP)より一部を抜粋・再編集したものです。

子育ても仕事もうまくいく 無理しすぎないスウェーデン人

子育ても仕事もうまくいく 無理しすぎないスウェーデン人

佐藤 吉宗

日経BP

「子育てと仕事を両立することなんて本当にできるの?」。そんな疑問に答えるヒントが、スウェーデンにあります。 いまでこそ子育てしやすい国として知られるスウェーデンですが、30年前は「男性が働き、子育ては女性がする…

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