55歳で役職定年…部長から平社員、年収は400万円台に
“55歳の壁”という言葉をご存じだろうか。一部の企業では、企業内で一定の年齢に達した従業員が管理職などの役職を退く制度を設けている。これを「役職定年」という。
人事院の「民間企業の勤務条件制度(令和5年調査)」によると、役職定年を導入している企業は全体の16.7%で、その年齢設定を55歳にしている企業が最も多い。そして、役職定年後の年収は2~3割減るケースが多い。
まさにビジネスマンにとっては、大きな壁といっていい出来事である。それゆえ“55歳の壁”と呼ばれるのだ。
不動産業の会社に勤める55歳の男性も、役職定年で、部長から一般社員になり、年収が4割減って400万円台になってしまった。
役職定年は、企業側にとっては中堅社員へのポスト開放、管理職の硬直化防止といった利点がある。一方、社員側にしても、第一線から退くことで精神的・体力的負担が減るなどのメリットがある。しかし、この男性にとってはモチベーションの低下にしかならなかった。
プライドが傷つき転職を試みるも、直面した「厳しい現実」
まず「肩書き外れ」によって、自分で想像した以上に精神的なショックを受けた。これまでは「〇〇部長」と呼ばれていたのが、役職定年になった途端、「〇〇さん」と呼ばれるようになったのだ。
かつて部下だった人も最初は遠慮がちであったが、1週間もすれば慣れて、笑いながら「〇〇さん」と仕事を指示するようになった。男性は「ふざけるな」という気持ちを抱かざるを得なかった。
一度、その部下に仕事のやり方を注意したことがあった。部下は、その場では「ありがとうございます」と感謝の気持ちを伝えたが、後日、会社側から「その行為はパワハラです」と指導を受けてしまった。
男性は「俺は部長職経験者だ!」というプライドが強く、この状態のままでいることは耐えられなかった。また親の介護や子供の進学、住宅ローンなどもあり、年収のダウンは相当な痛手であった。
そこで、男性は知人などに声をかけて、人づてに転職先を探した。男性は内心では「すぐに決まるだろう」と思っていた。
確かに彼は、部長時代に「顧客満足度賞」「改善提案賞」など数々の表彰を受け、周りから「キングオブ部長」と呼ばれていたこともあった。それゆえ「俺を採用する会社はある」と自信を持っていた。しかし、55歳の男性を欲しいと思う会社はまったくなかった。
「俺はもう期待されていないんだ」――。
失意の状態に陥った男性は、会社に行ってもまったくやる気が起きず、ただボーっと過ごすようになる。上司から与えられる仕事も少しずつなくなっていった。
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