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税務調査では「何を」調べられるのか
そもそも税務調査で調べられることは何なのでしょうか。税務調査への対応策を検討するうえでの基本となる「調べられること」について説明します。
税務調査では、申告書の提出がない場合は申告義務があるかどうか、申告書の提出がある場合は納税者が申告した内容は正しいか、申告漏れはないかを調べます。
税務調査の結果、申告義務があるにもかかわらず申告書の提出がないと判断した場合や申告誤りや申告漏れがあると判断した場合には、正しい所得金額・課税標準、申告納税額で期限後申告書又は修正申告書を提出するよう勧奨し、応じない場合は決定又は更正を行います。
税務調査の目的…意外と知られていない調査範囲
ただ、実際に通知される調査の目的は、「提出された納税申告書の記載内容を確認するため」、「(納税申告書の提出がない場合における)納税義務の有無を確認するため」という概括的なものとなっています。
筆者の経験を申しますと、国税当局在任中、個人事業者の税務調査を行った際に、事業所得の計算に直接関係のない不動産取得のことや、本人及び家族の生命保険契約や家族名義の金融機関の口座などについて調査を展開したところ、調査先の顧問税理士から「事業の調査ではないのか。それは事業とは関係ないのだろう」と言われたことがありました。同じようなことは他の事案でも度々ありました。
また、筆者が調査対応支援としてある税理士の方と一緒に税務調査に立ち会った際に、調査担当者が事業の決済専用の通帳以外の金融機関の通帳の提出を求めた際に、その税理士の方は「事業に関係する通帳は提出している。事業に関係のないプライベートな通帳は見せられない」と主張しているのを横で聞いたことがありました。
さて、このことを皆さんはどうお感じなりましたか? 事業に関係のないことを調べようとする調査担当者が問題だと感じたでしょうか?
「事業に関係のないこと」も調査の対象になる
税務調査では、納税者の金銭を含む経済取引のすべてが調査の対象となります。サラリと書きましたが、皆さんには「税務調査では、納税者の金銭を含む経済取引のすべてが調査の対象となる」ということをよく肝に銘じていただきたいと思います。
このことを心底理解して、税務調査を想定した対応策を考えないと、調査対応を失敗することになりかねません。
「税務調査では、納税者の金銭を含む経済取引のすべてが調査の対象となる」という意味について、所得税の課税と調査の基本的な事項を例に簡単に説明します。
税理士の方はご存知のように、個人の所得に課税する所得税は、原則として、1暦年(1月1日から12月31日まで)のすべての所得(所得税法で定める①利子、②配当、③不動産、④事業、⑤給与、⑥退職、⑦山林、⑧譲渡、⑨一時及び⑩雑の10種類)に対して課税することとなっています。
※⑩の「雑」は、所得税法が①利子から⑨一時までの9つの所得について、個別にその所得の内容を規定したうえで、そのいずれにも該当しない所得を「雑所得」としています。
「いずれにも該当しないもの」を包括的に「雑所得」としているということは、法律に規定されていない所得はないということになります。
個人の所得とは、法律で非課税、免税とされているものを除き、個人に発生した、個人が得た経済的な利益のことです。所得は、どのような理由、どのような方法で得たかは問いません。
生活費の足しや小遣い稼ぎであろうが、研究や趣味、付き合いであろうが、経済的な利益が生じている場合は所得になります。極端な事例ですが、賭博など不法な行為に基づいて得たものであってもそれが現に経済的な利益が生じている場合は所得となります。
そして、1年間のすべての所得を合計して確定申告を行い納税するというのが所得税です。なお、誰の所得となるかについては、実質所得者課税の原則により判定します。
