退職金の額面は同じでも、辞める日がたった1日違うだけで、手元に残る現金が変わることをご存じでしょうか? その鍵を握るのは、税制上の「勤続年数の端数は切り上げる」という意外なルールです。本記事では、服部貞昭氏による著書『東大卒のファイナンシャル・プランナーが教える 届け出だけでもらえるお金大全——一生トクする!セーフティネットのお金事典』(自由国民社)より一部を抜粋、編集し、退職金の手取りを増やすポイントについて解説します。
【POINT】
・退職金の非課税枠は勤続年数で決まる
・非課税枠は勤続年数1年あたり70万円増える
・勤続年数の端数を切り上げ(29年+1日なら30年)
退職金の大部分が「退職所得控除」で非課税に
退職するとき、会社からもらえるお金として退職金があります。
勤続年数が短い方は、退職金の金額が少なく税金もかかりませんが、勤続年数が長い方は、退職金の金額が多くなり税金もかかるようになります。
実は、退職する日を1日ずらすだけで手取り額が大幅に増えることがあります。
給料をもらった場合、税金(所得税・住民税)と社会保険料がかかります。たとえば、1,000万円を給料やボーナスとしてもらった場合、40歳以上・扶養家族なしの人であれば、所得税と住民税が合わせて約144万円かかり、さらに社会保険料が引かれて、手取り額は約721万円になります。手取りは約7割になってしまうのです。
ところが、1,000万円を退職金として一括でもらった場合、勤続年数23年以上の人であれば、まったく税金がかかりません。また、退職金にはもともと社会保険料がかかりません。
なぜ、退職金には税金がかからないかというと、「退職所得控除」という大きな非課税枠があるからです。退職所得控除は、勤続年数によって異なり、次のように計算します。
たとえば、勤続年数23年の人の場合、
退職所得控除額 =40万円×20年+70万円×(23年-20年)=1,010万円
となります。退職金が1,000万円なら、退職所得控除額のほうが上回っていますので、税金はかかりません。
ファイナンシャル・プランナー(CFP®)
新宿・はっとりFP事務所 代表
エファタ株式会社 取締役
長野県須坂市生まれ。数字と数学が大好きで6歳のときから現金出納帳をつけ始める。中卒の父から「サラリーマンでは金持ちになれない」と教えられ、中学2年生で起業を志す。経済や会計への関心から、学生時代には簿記のオンライン掲示板を自作し運営していた。
東京大学工学部卒業後、KDDIにてシステムエンジニアとして勤務。2014年に独立し、現在はファイナンシャル・プランナーとして、お金に困っている人の相談にのりながら、身近なお金に関する情報発信に携わる。ライフマネー・税金・相続関連のオウンドメディアを複数運営、総合月間150万PV超。これまでに2,000本以上の記事を執筆・監修。登録者10万人超のYouTubeチャンネル「お金のSOS」をはじめ、「ZEIMO」など4つのマネー系チャンネルを運営し、累計再生回数2,200万回を超える。
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