幸せな相続を実現するためには「今すぐに動く」
相続の相談を受けていると、必ずと言ってよいほど耳にする言葉があります。それは「もっと早く動けばよかった」という後悔です。
親が元気なうちに話し合っておけば、遺言書を作っておけば、財産の整理をしておけば──。こうした「もしも」は、残念ながら亡くなった後には取り戻せません。相続は一度しか発生しない出来事ですが、その準備期間は何年も確保できるはずです。それにもかかわらず、多くの人が「まだ大丈夫」と先送りしてしまうのです。
先送りが招くトラブルの連鎖
相続対策を後回しにする最大のリスクは、「選択肢が一気に減る」ことです。例えば、認知症の進行後に不動産を売却しようとすると、家庭裁判所での後見人選任や煩雑な手続きが必要となり、家族が自由に動けなくなります。また、相続人同士が遠方に住んでいたり関係が希薄だったりすると、遺産分割協議が長期化し、資産の有効活用ができないまま固定資産税や維持費だけがかさみます。
これは財産の大小に関係なく起こる問題です。むしろ、相続財産が1,000万円程度であっても、不動産や預貯金の分け方で感情的な争いになるケースは少なくありません。
今すぐ動くべき理由
「今は必要ない」と思っていても、人生の状況は予想以上に早く変化します。
■健康状態の変化(病気や事故)
■家族構成の変化(結婚、離婚、孫の誕生)
■法改正や税制改正(特例の縮小や税率の引き上げ)
■不動産価格や金融市場の変動
こうした変化は、相続の条件や効果的な方法に大きく影響します。制度や市況が自分に有利な時期は限られており、「やろうと思った時には制度が改悪されていた」ということも珍しくありません。だからこそ、「まだ先」とは考えず、思い立った瞬間に動きだすことが重要なのです。