(※写真はイメージです/PIXTA)

家族の形が多様化し、人生も老後も長くなった今、親子関係は複雑な課題を抱えやすくなっています。親への期待や責任、老い・介護の現実が重荷となり、自分らしさを見失うこともあるでしょう。そうした閉塞感をほどき、親子それぞれが自分の人生を生きるための考え方が「親じまい」です。親じまいを考えるうえで最も重要なのが、親子の経済的自立。そこで、本記事では、島田裕巳氏の著書『親じまい』(宝島社)より一部を抜粋し・編集し、親子の金銭依存や相続制度の変化、そして増え続ける「負動産」について解説します。

金銭の甘えが依存を生む――親子だからこそ距離を保つ

親が子に負担を残さない「親じまい」を考える上で、最も現実的かつ重要な課題の一つが経済的な自立です。

 

親として、自分の老後の生活は自分でなんとかしなければならないわけですが、同時に、子どもも経済的な自立を遂げるよう、その方向に育てていくことが必要になります。

 

人間というものは、他人に対しては金の面で厳しくなりますが、肉親に対しては甘くなりがちです。親も子も、肉親であるという関係性に甘え、依存したり、借金をしたりということになってしまうのです。

 

そうした依存関係がいったん成立してしまうと、後々にも影響します。親子間で金を貸したのに、結局は返ってこないなどということは起こりがちです。

 

あるいは、一度金を借りるなり、もらうなりしたことで、提供した側がそれを自分からの恩として捉え、無限にその恩を返すよう要求するようになったりもするのです。

家督相続から均分相続へ――変わる相続の形

親子関係における金ということでは、特に「遺産」が重要な問題になってきます。遺産は不動産や有価証券、それに現金ということになります。

 

明治時代から戦後までは、「家督相続」の制度があり、親の遺産は、すべて家督を継いだ、たいがいは長男のものになりました。農家でも商家でも、あるいは財閥でもそれは同じでした。

 

しかも、当時は相続税が相当に低率だったため、遺産相続によって、莫大な遺産が後継者に渡りました。もちろん、家督を継ぐことができない、次男や三男、娘には遺産は渡りません。それも、あくまで「家」を継承していくということが最重視された結果でした。

 

ところが戦後になると、こうした家督相続の制度は廃止され、均分相続となり、それに伴って相続税はかなりの高額になりました。広大な土地を所有していたとしても、それを相続すれば多額の相続税が課されるため、土地を売らなければならなくなったのです。

 

したがって、現在の日本では大土地所有者が、それを子どもに相続させることは実質的にできなくなっています。それが、戦後の平等な社会を生むことにつながりました。もっとも今日では、新たな格差が生まれていますが、それはかなり性格が違うものです。

 

次ページ遺産が迷惑になることも…

※本連載は、島田裕巳氏の著書『親じまい』(宝島社)より一部を抜粋し・編集したものです。

親じまい

親じまい

島田 裕巳

宝島社

平均寿命が延び続け、認知症や高齢に伴う病気などで親の介護は誰もが悩み、もはや国民共通の頭痛の種。金銭や時間以上に精神的負担が重くのしかかっています。 なぜ子供が親の面倒を看ないといけないのか? 生涯独身、DINKS…

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