今回は、トランプ氏の性格から「大統領就任後」にどのような行動をするか、予測していきます。※本連載は、日本人として最初にドナルド・トランプ氏にロングインタビューを行った経験を持つ、植山周一郎氏(株式会社植山事務所・代表取締役社長/経営コンサルタント)の著書、『予言 ドナルド・トランプ大統領で日米関係はこうなる』(SDP)の中から一部を抜粋し、トランプ氏が大統領に選ばれた理由を検証します。

常に注目されたい、スターでありたいトランプ氏

私がトランプ氏のテレビインタビューをしたとき、実は彼の辣腕ビジネスマンぶりと不動産王として名を成す過程が書かれた著作を翻訳していた。

 

ニューヨーク州知事候補にもなったジェローム・トッチリーという人が1985年に書いた『TRUMP』という本で、私はそれを読んで彼に興味を持ち、ぜひ日本語に翻訳しようと思った。

 

そして、テレビインタビューをしたのと同じ1988年6月にダイヤモンド社から『交渉の達人トランプ(若きアメリカ不動産王の構想と決断)』という邦題で上梓した。

 

私のトランプ研究はさらに続いた。

 

テレビインタビューの3年後、彼のカジノビジネスが倒産した。そのカジノの社長をしていたジョン・オドンネルという人が1991年に書いた『Trumped!』という本に興味を持った。

 

原書を読むと、トランプ氏の経営方法がいかにいい加減で、関連会社の社長人事にも非常に冷酷であるかといったことが書かれていた。

 

また1992年1月3日に惨殺された日本人ギャンブラー柏木昭男氏との勝負なども詳しく描写されていた。いわば、トランプ氏の「影」の部分だ。前述の『交渉の達人トランプ』のなかで描かれているヒーローとはまったく別の人格だった。

 

そこで、彼の「光」と「影」の両方をぜひ翻訳してみようという気になり、飛鳥新社から1992年6月13日に『経営者失格──トランプ帝国はなぜ崩壊したのか』という邦題で出版。今年『D.トランプ 破廉恥な履歴書』と改題され、再度書店に並んだ。

 

トランプ氏に関する本を2冊翻訳・出版し、かつ彼を1時間も直接テレビインタビュー。その翌晩、彼のバースデーパーティーに招待されたのは、おそらく私だけだと思う。

 

そこで私が得たたくさんの情報からトランプ氏の印象、性格などを分析。そして、今後彼がアメリカ大統領としてどのような決断を行い、行動を執るのかを予言してみたい。

 

まず、彼の「性格分析」。

 

1.自己中心的で、すべてを自分がコントロールしたがる。

 

2.常に注目されたい。スターでありたい。

 

3.初対面の人間を短時間の間に見抜く能力がある。

 

4.人間に関して、好き嫌いが激しい。気に入った人間は重用するが、気に入らないとバッサリと切る。

 

5.はっきりモノを言う人間が好き。

 

6.即断即決が大好き。1つのことにじっくりと時間をかけないで、次から次へと仕事を処理していく。

 

7.話す相手によって、自分の話す内容、話し方、表情などを意識的に変えることができる。(パーソナル・ブランディングの達人)

 

8.飽くなき向上心と野心を持った努力家。

 

9.言ったことは、やり遂げようとする強い意志と実行力。

 

10.白人至上主義。

 

11.特権階級意識が過剰。

 

12.敵対する相手とは徹底的に戦い、決して妥協しない。しばしば過剰反応することがある。

 

13.そして、日本人は決して好きではない。(ギャンブラー柏木昭男氏との確執。赤坂にビルを一緒に建てるプロジェクトを小佐野賢治に断られたという噂もある)

日本には多くの要求を突き付けてくる可能性も

ここからアメリカ大統領としての彼の行動パターンを読むと、こんな予想が立つ。

 

①自分はアメリカの国王で家族は王室という意識で活動する。

 

②強いアメリカを政治、経済の両面で実現する政策。

 

③まずは内政に着手して、その後で外交。

 

④ヒーローと付き合うのが好きなので、プーチンと親しくなる可能性が高い。

 

⑤意外なスタンドプレーが好きなので、北朝鮮の指導者・金正恩と会見するかもしれない。

 

⑥ビジネスで培った「交渉の達人」としての才能と手法を、政治交渉でも使うことは必至。

 

⑦1987年の意見広告の頃から、「日本はアメリカに安全保障でタダ乗りするずるい国」という意識を持ち続けている。日本には強硬な姿勢で、多くの要求を突きつけてくるだろう。

 

⑧自分自身のルーツはドイツ、スコットランド。従って、ヨーロッパとはうまく付き合いたいと思うだろう。イギリスには、ゴルフコースも所有している。

 

⑨アメリカに敵対する国や勢力がアメリカに攻撃の意思を示したとき、核攻撃も辞さないと宣言する。

 

⑩向上心旺盛なので、「偉大な大統領」を目指すだろう。まずは1月20日の大統領就任式では、歴史上最高と評せられる就任演説をしようとするだろう。

 

⑩4年後の自身の再選を目指し、そして、8年後には娘イヴァンカがアメリカ最初の女性大統領になるべく、あらゆる努力をするだろう。

予言 ドナルド・トランプ大統領で 日米関係はこうなる

予言 ドナルド・トランプ大統領で 日米関係はこうなる

植山 周一郎

SDP

不動産王の最大の弱点は不動産!? 世界、そして日本に訪れる未来は── ドナルド・トランプに実際に会ってロングインタビューを行った植山周一郎が語る、第45代アメリカ大統領トランプの正体。 会ったときに感じた印象や当時…

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