「知らないと損する投資術」は存在しない
魅力的に映る投資術にも、落とし穴が潜んでいる。
Case1 ドルコスト平均法
投資の本などでよく目にする「ドルコスト平均法」(定額購入法)は、 毎月定額を投資する方法だ。価格が安いときに多く買い、高いときには少なく買うため、長期的に平均購入価格を抑える効果があるとされている。
例1、例2では現在1000円で取引されている株を毎月3万円ずつ「定額」で購入する場合と、毎月30株ずつ「定量」で購入する場合を比較している。たしかに平均購入価格は定期購入のほうが低くなる。
落とし穴
ただし、必ずしも利益が出やすいわけではない。例1のように株価が大きく上昇したケースでは定量購入より利益は少なく、例2のように下落したケースでは損失が大きくなる。利益という点では状況次第で結果は異なり、どちらにも数学的な優位性はない。
Case2 埋蔵金銘柄
「25年前にエヌビディアの株を10万円買っていたら、今頃5億円になっている」
落とし穴
これを実現するのは極めて難しい。有望な銘柄は、すでに多くの投資家が注目し、株価も相応に高くなっている。さらに値上がりするには、現状の期待を超える企業の成長が必要になる。SNSでは、銘柄の見つけ方を得々と語るケースがあるが、そこには成功者特有の「自己奉仕バイアス」が潜んでいる。成功した人は自分の能力や努力を強調しやすく、あたかも再現性があるかのように語ることが多い。
そして、値上がり益を狙う投資は、他人が高値で買うことを当てにしている。プロの投資家たちと競争する中で、自分が高値で買わされるリスクも高い。

