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道路脇、傾斜地…場所を選ばず安全に施工可能
通常の杭打ち工事では、杭打ち機械本体を自重によって安定させる必要があるため、機械は大型でなくてはならない。仮に打撃方式の杭打ち機械で100トンの力で杭を打つ場合、100トン以上の機械重量がないと機体は浮き上がってしまう。機械が巨大化すれば、作業用の広いスペースを確保したり足場を築く必要があり、工事を開始するまでに多くの時間と費用を要する。
それに対しサイレントパイラーは地盤の引き抜き抵抗力を利用するので、100トンに満たない小型機械でも実質的に100トンの力を発揮することができる。
サイズがコンパクトなため、従来は施工が困難だった道路脇、運行中の列車の横、傾斜地、橋の下などでも安全に工事を行える。
大手メーカー続々参入も撤退…技研が生き残った「2つの理由」
油圧式の杭圧入引抜機の製造自体は他社でもできる。そのため、当初は大手メーカーや商社など20社以上が杭圧入引抜機の製造に参入したが、ほぼすべてが撤退した。
サイレントパイラーは販売すれば終わりではなく、販売後のメンテナンスや修理が重要である上に、操縦者に対しては技術指導が必要なのだ。単に機械を稼働させれば杭を押し込めるのではなく、地盤の地質によって操作法を変えなくてはならない。他社は販売後に顧客をサポートできなかったのだ。
研究開発に注力し圧入技術の改良を進めながら、顧客へのサポートを充実させるのは容易なことではない。他社ができなかったことを技研製作所ができたのには、2つ理由がある。
第1の理由は、技研製作所が製造を自社ではなく外部に委託するファブレスメーカーであること。製造は株式会社垣内などの機械メーカーに任せることで、自らは技術開発や顧客サポートに注力することができる。
第2の理由は、グループ内に施工子会社を持っていること。開発した技術が役立つのかどうか、子会社の技研施工が実際に新技術を使って工事することで確かめる。不具合があれば、実際に施工した者が技研製作所の技術者に伝える。実験室内の模型実験ではなく、実際の施工から得た情報が貴重であるのは言うまでもない。
