屈辱から1年、ハゲからの生還を果たした私
人として、男として、何かを成し遂げるときに大事なものは体力、そして「強い思い」だと信じています。
それが揺るがぬ確信となったのは、今から10年ほど前のことでした。
20代後半で〝髪の危機〟に直面した私が、再びフサフサになり、ハゲる恐怖からほぼ解放されたのは30代に入ってからでした。
ついに“そのとき”が来たのです。
毛髪の減少した私が、やがて意中の女性にもフラれてしまったことは前述しました。その屈辱の失恋体験から、私は一念発起して髪についての勉強を強化し、さらに体質改善と肉体改造に励むようになりました。
それまでにも、どうしたらハゲが目立たないか、どうしたら脱毛を防げるか、そういうことを考え続け、いろいろなことを試し続けていました。
しかし、経験上、育毛サロンをはじめとする業者頼みでは、髪が増えることはありませんでした。だから、「自分の髪は自分で生やす」、そう決意したのです。
ボクシングを始めて気がついた「ある変化」とは!?
いろいろ髪について勉強した成果を、地道に、徹底的に実践していきました。
その間、ことさら「これが効いた」という、インパクトの強いエピソードがあったわけではありません。しかし、最終的には、体を鍛えたことが決め手になりました。
彼女を取られた相手を見返すべく、ボクシングを始めたことは前に触れたと思います。
もちろん、それで毛が生えると思ったわけではありません。体を絞ってかっこよくなることが本来の目的でした。
メタボになりかけていた私のぷよぷよボディが、ボクシングを始めて2カ月後、めっきり引き締まりました。トレーニングの成果が出て腹筋が割れ、いわゆる「シックスパック」を久々に取り戻したのです。
そして、期待していなかった成果も……。
トレーニングで毎日汗を流していたら、いつの間にか、毛が生えてきたのです。
初めは「エーッ?」次には「オーッ!」と思いました。
そして、半年ごとに気にしていた「抜け毛のサイクル」が気にならなくなり、髪が増え始めていることに気づいたのです。
私は毎日、〝薄かった頭頂部〟を鏡に映して撫でさすりながら、自分の髪の毛の感触を確かめました。
(よし、黒いぞ……。しかもしっかりしてるじゃないか……)
密度が薄くて、他人に見られることが屈辱だった私の頭頂部……。
細くて短い毛が、少し増えたと思えばまた薄くなり、ムダに一喜一憂させられてきた頭のてっぺんの円形闘技場……。
そこに今や、黒くて太い〝自分の髪〟が、雄々しくよみがえろうとしていました。