損失額640万円が示す、経営マターとしての早期離職
早期離職は、求職者のキャリアに影を落とすだけでなく、企業側にも深刻なダメージを与えます。エン・ジャパンの試算によると、年収600万円の人材が6ヵ月で離職した場合の損失額は、合計で640万円にのぼります。この金額には、人材紹介会社への成功報酬といった「採用費用」(180万円)や、在籍期間中に支払った「在籍人件費」(360万円)といった直接的なコストに加え、面接に関わった社員の「採用関連人件費」(20万円)、上司が面談や引き継ぎに要した「マネジメント費用」(36万円)など、多岐にわたる間接的なコストが含まれています。
しかし、本当の損失はこの金額だけにとどまりません。一人の社員が辞めることで、残された他の社員の業務負担が増加し、チーム全体の士気が低下する可能性があります。また、後任者の採用や再教育にも同様のコストと時間がかかり、その間の機会損失も発生します。さらに、短期離職が繰り返されれば、企業の評判が低下し、将来的な採用活動にも悪影響を及ぼしかねません。早期離職は、もはや単なる人事部門の一課題ではなく、事業の継続性や成長を脅かす経営マターとして捉える必要があるのです。
[参考資料]
エン・ジャパン株式会社『「早期離職」に関する実態調査。入社から半年で早期離職が発生した場合、企業の損失額は「640万円」。早期離職経験者は31%。後悔の最多は「転職活動が大変になった」』
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