デジタル技術の活用法で企業の未来が大きく変わる時代
私はこれまで、大手日系IT企業でマネジメント領域のシステム導入および運用支援に携わったあと、大手コンサルティングファームで保険業界を中心に、ITマネジメントやリスク管理のプロジェクトを多数担当してきました。現在は独立し、ITの専門知識と企業の経営戦略における橋渡しを担うコンサルティングファームを運営しています。
日々のコンサルティングの現場で、経営層から頻繁に聞くのが、「AIには関心があるが、何から着手すればよいか分からない」「クラウドの必要性は理解できるが、自社にとって本当に導入すべきか判断がつかない」といった声です。
こうした悩みは、単にITの知識が足りないから生じるのではありません。重要なのは、ITの導入が自社の経営にどのような影響を及ぼすのかを正しく理解し、それを踏まえて判断を下す力なのです。多くの経営層にとって欠けているのは、この「経営とITを結びつけて考える視点」だといえます。
例えば、データ分析基盤を構築することで顧客行動の変化をリアルタイムに把握し、新たな市場機会を見いだした小売企業。あるいは、デジタルプラットフォームの導入により業界の垣根を越えた新規事業を展開し、収益構造を変革した製造業。これらの経営者は、ITを単なるコスト削減ツールではなく、ビジネスモデル変革の核としてとらえ、戦略的投資判断を行いました。
デジタル技術の可能性を見極め、適切に判断する力の有無が、企業の未来にかつてないほど強く影響する時代に突入しているのです。
大野聖一
North Star Management株式会社
代表取締役
