Aさんが5年繰上げを即決できたワケ
Aさんの65歳時点の年金見込み額は月17万円ほど。5年の繰上げによって約25%減額され、月12万円強に。妻も同様に繰上げたため、彼女の年金も月6万5,000円程度になります。
「やはり5年も繰上げると、差は大きいですよね。ですが、迷いはありませんでした。それもお金を貯めてきたからこそです。繰上げのネックは減額ですが、それがカバーできる貯蓄があったのは大きかったと思います」
繰上げの最大のデメリットは「一生にわたる減額」ですが、Aさんにとってそれよりも大事だったのは早く自由になることでした。
「仮にもっと貯金が少なくても、早く退職をして、年金を受け取りながら、少しアルバイトをしてやりくりしたと思います。65歳で会社員から解放されるのは、個人的にはちょっと遅すぎます。60歳からの5年間って、本当に貴重ですから」
現在68歳になったAさん。妻と旅行に行ったり、公園に散歩をしに行ったり、図書館に行ったり。そんな自由が何よりの幸せだと感じているといいます。一方で、繰下げについては、こう語ります。
「たしかに増額幅の大きさは魅力。でも、そこまで元気でいられるのか? そのお金を使って楽しむ体力があるのか? 生きていられるのか?……そう考えると選ぶメリットはかなり薄いんじゃないでしょうか」
年金と働き方、あなたはどうする?…後悔のない選択を
年金受給のスタートは原則65歳からですが、希望によって繰上げ(前倒し)・繰下げ(後ろ倒し)が可能です。繰上げは最大60歳、繰下げは最大75歳までずらすことができます。
繰上げ受給をした場合、1ヵ月の繰上げごとに0.4%(1962年4月2日より前に生まれた人は0.5%)年金が減額。最大の5年繰上げると24%(同30%)年金が減ります。一方で、繰下げ受給の場合、1ヵ月の繰下げごとに0.7%年金が増額。最大の10年繰り下げると84%年金額が増額します。
繰上げの最大のメリットは年金を早く受け取れること、最大のデメリットは年金の減額です。一方、繰下げの最大のメリットは年金の増額、最大のデメリットは受け取り時期が遅くなる分、実際に活用できるかは未知数ということです。
繰上げるか、待つか。それとも、自分のタイミングで受け取るか。正解はありませんが、後悔のないよう、自分の人生観と資産状況に合わせた選択をすることが何より大切です。
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