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「死亡保険」の落とし穴
相続サバイバルという点で私が大きく打ち負かされたエピソードを、紹介します。
2018年に亡くなった父の 「死亡保険」 についてです。その保険は、ある大手保険会社の 「利率変動型積立(終身)保険」 でした。この保険は、一見すると終身保険のようですが、まったく違います。保障部分(定期保険など)と積立部分を組み合わせたもので、保険料の払込満了後に、積立部分で終身保険に移行できるに過ぎない保険です。
ちなみに定期保険とは、契約時に定めた期間中に死亡した場合、保険金を受け取れる、掛け捨て型の死亡保険のこと。一方、終身保険は、加入してから一生涯にわたって死亡保障が継続する保険です。
私の父のケースでいえば、契約途中に、外交販売員の言いなりのまま、積立部分を何度も切り崩して不要な特約に回されていました。その結果、積立部分はどんどん削られ、払込満了後に終身保険へと移行した場合、その保障額はたったの15万円でした。
父の保険料は、通帳を調べたところ、2009年以降、月額約3万円、それ以前は月額6万円台のこともありました。
ちなみに、オリックス生命のシンプルな終身保険の合、25歳から80歳まで、月3万円程度の支払いで、保障額は2500万円になります。
なぜ、このような保険を契約してしまったのか。
これは、ひとえに私の両親が保険について無理解で、優しく接してくる外交販売員を意味なく信頼し、任せ切っていたからです。もう一つ、私が親の保険について、まったく関心がなかったことも要因といえます。
母の死後、認知症になった父の代わりに父の財産を管理することになった私が、この保険の内容を知ったとき、「なんで毎月こんなバカ高い保険料を払ってきているのに、たったの15万円しかもらえないの?」 と、ただただ愕然としました。
そして、担当の外交販売員と面談し、「この保険のメリットはいったい何でしょうか?」と質問しました。しかし彼女は、的確に答えることはできませんでした。外交販売員は、顧客のライフプランなんて真剣に考えてはおらず、会社の利益だけを考えていたと、そのとき確信しました。
親の世代は、子どもの世代以上に、自分の生命保険の内容を理解していません。生命保険文化センターの「生命保険に関する全国実態調査」(2024年)によると、営業職員を通じて保険に加入する割合は44.8%で、さらに「特に商品比較をしなかった」が69.7%にのぼっています。カタカナ生保や外資系生保が増えている今でさえ、この状況なのです。昔はもっと、この比率が高かったはずです。
