遺族年金がまったくもらえない…想定外の落とし穴
遺族年金には、国民年金の加入者が亡くなったときに遺族が受け取る「遺族基礎年金」と、会社員など厚生年金の加入者が亡くなったときに遺族基礎年金に上乗せで受け取る「遺族厚生年金」の2つがあります。
このうち遺族基礎年金は、18歳未満の子がいる配偶者または18歳未満の子どもが対象。つまり、雄一郎さん夫婦のように子どもがいない場合は、そもそも受給権がありません。
一方の遺族厚生年金においても様々な要件がありますが、夫の場合、妻が亡くなったときに55歳以上の場合のみ対象。受け取れる額は、亡くなった人の老齢厚生年金に4分の3を掛けた額です。
さらに、夫が老齢厚生年金を受給し始めている場合、支給額が調整されます。自分の受け取る厚生年金が配偶者の遺族厚生年金よりも少ない場合には、その差額が給付されるのです。
この仕組みによって、自分の厚生年金の金額のほうが多い雄一郎さんは、遺族年金を全く受け取ることができないことが判明しました。
「まったく受け取れないことなんてあるか? 嘘だろ……」
思わずつぶやいたという雄一郎さん。
夫婦で年金月28万円で生活することは可能でも、自分の年金月15万円だけで1人やりくりするのは厳しいという現実。夫婦の貯金や退職金の残りは1,500万円ほどありますが、住宅ローンの返済もあり決して余裕はありません。
「妻に頼って生きているつもりはなかったけれど、こんなことになるとは」
自分が亡くなったら年金はどうなる?早めに確認を
遺族年金は受給するための要件が複数あり、非常に複雑です。
雄一郎さんのケースのように、老齢厚生年金と遺族厚生年金の受給権がある場合、65歳以降は、老齢厚生年金を優先的に受給し、遺族厚生年金は老齢厚生年金の額との差額を受給することになるのですが、これもわかりづらいため、理解しないままの人も少なくありません。
しかし、老後において、遺族年金がいくらになるかを知っておくことは大切です。最初からゼロだとわかっていれば、対策も打ちやすいからです。
雄一郎さんは、「妻との別れを想定していなかったし、病気が見つかってからはお金の話をする余裕もなかった」と後悔しています。今では、一人で住むならどこでもいいと、家を売って賃貸アパートに引っ越すことを検討しているといいます。
どんなに仲の良い夫婦であっても、死の時期を合わせることはできません。ある日突然、その生活に終わりがくる可能性もゼロではないのです。そのため、もしものことが起きた時に自分たちの年金、資産がどうなるのか、きちんと話し合っておくことをおすすめします。
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