ないものとされた世代のわたしたち 1980年〜
私たちの世代が矢面に立つことになった「日本社会の曲がり角」について振り返ってみる。
2024年から振り返ったとき、バブル景気の崩壊は長い長い停滞の出発点に見え、それに引き続いた、いわゆる「失われた30年(ロストジェネレーション、通称・ロスジェネ) 」は愚かしい過ちとうつるかもしれない。そのときまったく何もできなかった私たちを笑う人もいるだろう。
しかし、バブル景気にしてもその後の停滞にしても、その渦中にあって私たちはそれを自覚できず、だからこそ対応が難しかった。私たちの世代だけではない。当時の社会を主導していた上の世代も事態をうまく認識できず、1990年代末や2000年代前半においてさえ適切に対応できなかった。1980年代から1990年代をとおして多くの人が個人主義的なライフスタイルを身につけ、そこに埋没しきっていたがために、政治運動のようなかたちでは団結することもできず、ただ個人単位で目の前の現実をサバイブするしかなかったのも悪く働いたかもしれない。
社会の曲がり角は、その渦中にあって案外気付きにくい。そのことを知るうえで、あの、葬送しようにも葬送しきれない一時代が教えてくれることは多いように思う。