グローバル人材を育成するための教育プログラム「国際バカロレア」。導入するインターナショナルスクールも少なくありません。国際バカロレアのプログラムで教育を受けた生徒は卒業後、どのような進路を歩んでいるのでしょうか? 柴田巌氏の著書『未来をつくるインターナショナルスクール経営戦略』(プレジデント)を基に、グローバル人材育成に特化した教育について紐解いていきます。
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特定の分野で突出した才能を持つ生徒も育てる
アオバジャパン・インターナショナルスクール※では、創立者レジーナ・ドイ氏の音楽家としての背景もあり、文化や芸能分野で活躍する卒業生を多く輩出しています。高等部では、国際バカロレア・ディプロマ・プログラム(IBDP)に加え、独自に構築されたグローバル・リーダーシップ・ディプロマ(GLD)という選択肢も提供しています。
※創立当初は5歳以下の子どもたちを対象とした英会話学校としてスタートし、東京都目黒区青葉台に初めてのキャンパスをオープンしたインターナショナルスクール
このGLDは、将来のキャリアを逆算して設計されたカリキュラムで、特定分野に強い関心を持つ生徒の専門性を高めるために構成されています。IBDPとは異なり、GLDは生徒の個別の目標に合わせた柔軟な教育を提供しており、個々の生徒のニーズに応じたサポートを行います。
アオバジャパン・インターナショナルスクールは、国際的な教育評価機関であるCIS(Council of International Schools) およびNEASC(New England Association of Schools and Colleges)の認定を受けており、卒業証書は国際的に評価されています。この認定により、生徒たちは日本国内だけでなく、世界中の大学へ進学する道が開かれています。
日本の大学も、これらの認定を受けた教育機関の卒業生に対し、大学入学資格を認めています。最近では、プロゴルファーを目指す日本人女子生徒がGLDを選択し、オーストラリアを拠点にゴルフツアーに参加しています。彼女は、将来アメリカの大学に進学してアスリートとしてのキャリアを積むことを目指しており、学業とスポーツを両立するためにGLDのカリキュラムを活用しています。
このように、GLDは生徒一人ひとりのキャリア目標に合わせた柔軟な学びを提供し、個々の成功を支援しています。IBDPとGLDはどちらもグローバルな視野を持つ教育を提供していますが、異なる強みを持っています。IBDPは幅広い知識とスキルをバランスよく習得するためのオールラウンドな学びを提供するのに対し、GLDは生徒の興味やキャリア目標に特化したカリキュラムを通じて専門性を高めることを重視しています。
両者はそれぞれのアプローチで生徒を支援し、グローバル社会で活躍するための土台を築いているのです。
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株式会社Aoba-BBT
代表取締役社長
京都大学工学部、同大学院で工学学士・修士を取得。その後、多角的な視野を獲得するために、英国London School of Economicsにて経済学修士、米国Northwestern大学Kellogg Graduate School of ManagementでMBAを取得。京都、ロンドン、シカゴでの生活と学びを通じて、都市、テクノロジー、ビジネス、政治経済地理等の社会科学を横断する独自の視点を磨く。
経営のプロフェッショナルとしては、IT系コンサルティングAndersen Consulting(現アクセンチュア)、経営戦略コンサルティングBooz Allen & Hamilton、大前・アンド・アソシエーツに勤務。1998年5月、日本におけるインターネット時代を見据えてネットスーパーの先駆けである株式会社エブリデイ・ドット・コムを大前研一と共同創業し、代表取締役に就任。その後、民事再生企業の再建(オレンジライフ株式会社)や料理宅配の先駆けとなる株式会社旬工房の経営者として事業を黒字化に導く。
教育界においても、日本の教育に革新をもたらすべく、大前研一が創業した株式会社ビジネス・ブレークスルーの代表取締役社長に2018年就任。同社の大学院教授も歴任。また、2013年からはアオバジャパン・インターナショナルスクールの経営に参画し、日本最大規模の国際バカロレア(IB)認定校へ成長。同校以外の複数のインターナショナルスクールの経営に参画し、幼小中高の一貫校を通じて世界標準の教育の国内普及に努める。草の根レベルの中立的な国際交流を積み上げるために、大使館親善交流協会の理事長を務める。この役職を通じて、各国大使館を対象にした日本語スピーチの機会等を提供し、日本社会や文化の価値を発信し、見つめ直す機会の提供に努めている。
株式会社Aoba-BBTは現在、アオバジャパン・インターナショナルスクールで培った国際教育事業と、若手社会人から経営層に至るまでを対象としたリカレント教育を主軸とする「知のネットワークは人間の能力を無限に伸ばす」というミッションの下、インターナショナルスクール、企業研修、オンライン大学・大学院(MBA)など多様な教育サービスを提供しており、その業績は日々拡大している。著書に『未来をつくる大学経営戦略』『未来をつくる人と組織の経営戦略』(いずれもプレジデント社)がある。
著者プロフィール詳細
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連載インターナショナルスクール、国際バカロレア…日本の将来を背負う若年層の人材育成