新しく人を採用する際、企業側は学歴や経歴を参照します。しかし、本来よりもより良い自分に見せようと、過去を詐称する人は少なくないといいます。今回は、サーチ・ビジネス(ヘッドハンティング)のパイオニアである東京エグゼクティブ・サーチ(TESCO)代表取締役社長の福留拓人氏が、経歴詐称にみられる2つの特徴と見破り方について解説します。
学歴重視主義の復活とともに増加する「経歴詐称」…ウソの履歴書で転職を目論む人の実態【人材のプロが解説】 (※写真はイメージです/PIXTA)

学歴重視主義が戻りつつある中で経歴詐称は増加…できる対策とは

私どもプロが熟練してくると、経歴書と照らし合わせた時の会話から違和感を持つことがあるのですが、確率的に完全に見破ることは不可能だと思います。

 

しかし、たまに露見するきっかけとしては、有名大学の場合はOBの連帯意識が特に強い傾向にあるからです。何かの時に「あんな人いた?」というように不審に思われ、入社後に大学OBのネットワークから疑われることもあるでしょう。

 

私どもでは、長年のカンでふと違和感を持った時には、中途採用であっても卒業証明書を提出してもらうようにしています。これも現実には偽造の可能性がゼロではないわけですが、それは仕方ありません。また、大学の学位が果たして採用基準と仕事の能力に影響しているかというと、必ずしもそうは思いません。

 

弊社の体感値としても学歴重視主義が戻りつつある昨今、それと連動して詐称は増えています。そのため、中途採用においても卒業証明書を確認できるとベターだと考えます。

 

証明書などはオンラインで簡単に入手できますから、多忙でもそれほど気を使うことはないでしょう。時代が進んでいながら、やっていることは昔に戻るようですが、これが現実ですので致し方ありません。

 

私が面談者の学歴に違和感を持った時は、ゼミはどこか、どの教授に教わったか、学生時代のエピソードは何か、この3点セットを話してもらうようにしています。その際の動揺の具合や話の緻密さで、おおむね9割程度は学歴詐称を見破ることができます。

 

しかし一般の方々が経歴詐称を見破るのは、なかなか難しいことかもしれません。面談でコミュニケーションを深め、それなりの場数を踏むことでスキルとノウハウが蓄積されていくと思います。みなさまのご健闘に期待します。

 

 

福留 拓人

東京エグゼクティブ・サーチ株式会社

代表取締役社長