写真:GTACスタッフ

さまざまな人々が集まることで起こるコラボレーションに必要なスペースとは、物理的な空間だけにとどまりません。今回は「ZINE」と呼ばれるアート系同人誌に関する、スリランカの最新事情をお伝えします。

若いクリエーターを集めるアート系同人誌

ZINE(ジン)とはmagazineの略称で、1970年代初頭に限られた部数のデザイン作品集を自費出版で発行する活動を指すのに幅広く使われた用語である。スリランカで初めてのZINEはRiots Mindsと呼ばれる小さなデザイン専門誌だ。

 

Riots Minds誌は、さまざまなデザイナーによるデザイン・写真・テキストで埋めつくされたA2サイズのカラー印刷されたポスターで、ポケットに入るA5サイズに折りたたむことが出来る。デザイナーにとっては小さなポートフォリオのようなものだ。

 

Riot Minds誌は、デザイン業界のインキュベーター兼代理店であるRiot House社の顔だ。このZINEに作品を載せたアーティストは自動的にRiot House社のポートフォリオに登録され、アーティスト達は仕事が見つけやすくなる。Riot House社の創設者そしてキュレーターでもあるChani Pereraさんは、自身の経験、専門知識や人脈を駆使し、一つひとつの仕事に相応しいデザイナーを見つけ出す。「デザイナーが見せる情熱は、すべて私の想像力を刺激してくれます」とPereraさんは言う。

 

Riot Minds誌は新人だけでなく、業界のベテランの作品も受け入れる。しかし、作品を送ってくるデザイナーのほとんどは業界の中で地位を確立した者ではなく、活路を見出すのにもがく若いデザイナー達だ。Riot House社はデザイナーの作品をZINEに掲載することで、彼らに自信を持ってもらいたいと考える。Riot Minds誌とは、オピニオンやイデオロギーを表明するデザイナー達そのものなのだ。

スリランカのデザイン水準を向上させる

Riot House社はスリランカのデザイン水準の向上、そして、デザイナーに自信を与えるという目標のもと誕生した。デザイナーに一番厳しい目を向けるのは大概本人たちであり、彼らは作品が完璧に仕上がるまで公表することはない。しかし、人は主観で完璧か否かの判断をするものだ。Pereraさんは、Riot Mindsに作品を投稿するデザイナー達には締切を守るよう執拗に要求し、また、毎月質の高い出版物を世に送り出すための協働を惜しまない。

 

ジャーナリズムとデザインの融合という個人的な興味をきっかけに、PereraさんはZINEを通じ、デザイナーであることについて、そして、スリランカのデザイン業界にまつわる議論を生みたいと考えている。「どうして私達は質の高い作品を生み出せないのか。議論はいつでもその繰り返しです。Riot Minds誌はこの不満を吐露する小さなはけ口です」と彼女は説明してくれた。Riots Minds誌は毎月、希望者全員に無料で発送されている。

 

Pereraさんは「もし欲しいものが見つからないなら、自分で創りなさい」をスローガンに生きている。デザインの仕事は先進国のマーケットでは多く見つかるが、スリランカでは本当に僅かな選択肢しかなく、デザイン学校の卒業生が進める道はたった3つしかない――広告業界に就職するか、フリーのデザイナーになるか、スリランカを出ることだ。デザイナー達はPR業務や出版業務の制作に関わるよりも、常にデザインやクリエーションに集中する必要がある。Riot House社の事業はその課題に対する彼女なりの解決策なのだ。

 

Pereraさんによると、デザイナー達は作品を盗作され、知的所有権を侵害されることがよくあるようだ。創造プロセス全体をキュレーションすることで、Riot House社は優秀な人材が酷使される状況を極力なくし、そして相互の同意のもとデザイナーとクライアント双方が恩恵を受けられる環境の整備に勤しんでいる。


次回は、場所の提供を本業とする市場が取り組むオーガニック業界への挑戦をご紹介します。

この連載は、GTACが提携するスリランカのメディア「ECHELON」が2015年7月に掲載した「Space To Collaborate」を、翻訳・編集したものです。

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