今回は、家族葬や樹木葬などさまざまな「葬儀」のスタイルについて見ていきます。本連載は、行政書士の廣末志野氏、特定社会保険労務士の田口乙代氏、税理士の佐伯茂樹氏の共著、『さあ大変!どうする?身内が亡くなったあとの始末』(北辰堂出版)の中から一部を抜粋し、身内の死亡時に何をすればいいのか、具体的な対応策をご紹介します。

家族葬の際は、参列者以外へのお知らせに配慮

■「家族葬」でいう家族の範囲

最近では、一般的な通夜・葬儀・告別式ではなく、「故人の遺志により家族葬、密葬、直葬(通夜・葬儀・告別式を行わず、火葬のみ行う)」という方法を選ぶ方も増えています。

 

家族葬について、一般の方に話を聞くと、ふつう「家族だけによる葬儀」という答えが返ってきます。では、「家族」の範囲は、どこまででしょうか。故人の兄弟姉妹、甥姪、従姉妹は家族でしょうか。人により考え方が異なります。参列者10人くらいなどと人数で決めて、親しい友人なども含めるという考え方がいいかもしれません。

 

このように「家族の範囲」についての価値観は異なりますので、家族葬を行う場合は、家族葬を行うことを近隣、親族、関係者へあらかじめ伝え、ご理解をいただくことが肝心です。

 

■「家族葬・直葬」を選んだ場合の留意点

また、「家族葬で行いますので」と、参列をお断りする場合は、その旨の文章を用意しておきましょう。香典や供花・弔電を辞退する場合は、その旨も記載しておきます。

 

家族葬・直葬を選んだ場合は、参列者以外の方々へのお知らせ方法が非礼にならないように、特に配慮する必要があります。

樹木葬、散骨は後日「お墓参り」ができない点に注意

■樹木葬

樹木葬は、墓地として許可を得た場所(霊園)にて、遺骨の周辺にある樹木を墓標として故人を弔う方法です。

 

霊園により、遺骨を埋葬するたびに新しい苗木を1本植えるケースや、墓地の中央にシンボルツリーとなる樹木を植え、その周辺の区画に遺骨を埋葬するケースなど、さまざまな方法があります。

 

基本的な樹木葬の形式では、「シンボルツリー」と言われる木の周りに、遺骨を埋葬します。お名前を刻んだプレートや石碑などをシンボルの近くに添えるなどして弔われるケースもあります。

 

樹木葬は、これまでのお墓ではできなかった「自然へ還る」ことを体現できるのが大きな特徴といわれています。ただ問題点は、残されたご家族が、あまり「自分の家のお墓参り」といった感覚を持てなくなってしまうことです。

 

■散骨

また、遺骨を細かく砕いて、海に散骨する「海洋散骨」という選択肢も、「自然へ還る」ことを体現できますので、近年注目を集めています。

 

散骨に対応してくれる葬祭業者を探して依頼することになりますが、船でかなり外洋に出て散骨するのが通常ですので、乗船時間は例えば東京湾の場合、最低でも2時間程度かかります。外洋まで出るので、波も荒く、問題点としては、乗り物酔いしやすい遺族は、船酔いに注意が必要です。

 

こちらも樹木葬以上に、残された家族は、お墓参りの感覚を持てなくなってしまいます。

本連載は、2016年10月15日刊行の書籍『さあ大変!どうする?身内が亡くなったあとの始末』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

さあ大変!どうする? 身内が亡くなったあとの始末

さあ大変!どうする? 身内が亡くなったあとの始末

廣末 志野,田口 乙代,佐伯 茂樹

北辰堂出版

身内の死に直面したとき残された人はどうしたらいいか……。葬儀から遺言、相続、遺品の整理まで、分かりやすくその道のプロが教える便利な本!! 高齢化時代、手元に置きたい一冊。 【目次】 第1章 突然のお別れ……やら…

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