どこまでが英国なのか
英国は19世紀には多くの海外領土を有していました。英国が上記の4つの地域から構成されていることは国際的に認められています。
たとえば日本と英国の租税条約では、英国の地理的範囲は「グレートブリテンおよび北アイルランド」となっています。
しかし、英国とアイルランドの間にあるアイリッシュ海には「マン島」があります。英国国王がこの島の領主から島を買い取ったことから、王室属領となっています。マン島は人口8万余で、法人税の基本税率が0%のタックスヘイブンです。マン島は独立国家ではなく、また英国の海外領土でもありません。しかし、英国が責任を持っている領土となっています。
マン島と同様に英仏海峡には、ガーンジーとジャージーという島があります。この2つの島は、周辺の小島を合わせてチャンネル諸島と呼ばれ、ガーンジーは人口6万5,000人、ジャージーは人口9万5,000人です(王室属領で、タックスヘイブン)。このように英国の周辺には、英国の領土ともいえない地域があります。
また、英国の海外領土としては、カリブ海のケイマン諸島、北大西洋のバミューダがありますが、いずれもタックスヘイブンです。これらの海外領土は自治権が認められていますので、独自の法律、税制を規定しています。英国領土といっても、英国の税法が適用になるわけではありません。
英連邦とは?
英連邦という56の国から成る連合体があります。たとえば、カナダあるいはオーストラリアの元首は英国国王です。このように英連邦の国では、元首を英国国王とする国がありますが、政治的には英国とは別の独立国で、英国が支配しているという状況ではありません。
国税なのに所得税が地域によって異なる
地方税がその地域により異なるのは、ほかの国でもよくあります。ですが、国税である所得税が地域により異なるというのは少し異例です。
英国には地方税としての所得税がありません。もちろん所得税は英国の国税ですが、2017年以降、スコットランド議会は、所得税の立法権限を行使して独自の税率をスコットランド居住者に適用しています。
現在でも英国は多くの海外領土を有していますが、英国の経済力の衰退とともにこれらの地域に自治権を与えたことから、英国の支配が現在も強力という状態ではありません。
矢内一好
国際課税研究所首席研究員
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