「事実婚の妻」に財産を残す方法と実行時の留意点

今回は、「事実婚の妻」に財産を残す方法と実行時の留意点について見ていきます。※本連載は、池田税務会計事務所の代表税理士の池田俊文氏の著書『50歳からの相続・贈与の本』(駒草出版)の中から一部を抜粋し、大切な家族と財産を守るための相続や贈与に関する法律知識や税金知識を幅広く紹介します。

事実婚の妻に財産を遺すには「遺言書」が必要

私のもとに次のようなご相談がありました。

 

《いつの間にか一緒に暮らし始めた女性ともう20年近い関係になります。生活をしていく上で何の不便も不自由も感じなかったため籍を入れずに時は過ぎ、50歳の声を聞き始めてこのままでいいのだろうかと考えるようになりました。気になるのは自分が死んだ後の妻(事実婚)の生活です。私には兄弟が2人いて、このまま死を迎えると財産は兄弟に渡ってしまい、万が一、妻が家を追い出されることにでもなれば、その後の妻の生活は成り立たなくなってしまいます。どうしたらいいでしょうか?》

 

この場合に必要な手立ては、遺言書を書くことです。遺言書がなければ、妻には何の財産も渡すことができませんが、遺言書に「遺言者の所有する全財産を妻に遺贈する」旨を書けばいいのです。兄弟姉妹には遺留分の請求ができないので、遺言書を書くことで全財産が事実婚の妻へ渡ることになります。

 

【図表 事実婚の妻に財産を分けるには?】

事実婚の場合は「贈与税の配偶者控除」の適用外に

婚姻期間が20年以上の夫婦の場合、居住用不動産の贈与、または居住用不動産を取得するためのお金を贈与する場合2000万円まで贈与税がかからない「贈与税の配偶者控除」の適用を受けることができますが、事実婚の妻には適用できません。

 

配偶者の税額軽減の制度が使えない婚姻関係にある配偶者には、法定相続分または1億6000万円までの遺産額に対して相続税が課税されないという税制上の優遇措置がありますが、事実婚の妻にはその適用がありません。

 

事実婚の妻が遺贈によって財産を取得した場合には、相続税額に2割が加算されるので、相続税を余計に納めることになります。

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    池田税務会計事務所 代表税理士

    1950年宮崎県生まれ。立正大学経済学部卒業後、宮崎市内のシーサイドホテルフェニックスでフロント会計に従事した後、税理士事務所勤務を経て、1996年池田税務会計事務所を独立開業。
    相続においては、温厚で誠実な対応にクライアントから篤い信頼が寄せられている。相続セミナーをはじめ、各種経営セミナー講師としても活躍。監修書に『よくわかる相続・贈与の事典』(成美堂出版)がある。

    著者紹介

    連載争続トラブルを防ぐ――相続の基礎知識

    本連載は、2015年12月17日刊行の書籍『50歳からの相続・贈与の本』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

    50歳からの相続・贈与の本

    50歳からの相続・贈与の本

    池田 俊文

    駒草出版

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