今回は、息子の嫁との養子縁組について、離婚によってどうなるのかを見ていきます。※本連載は、池田税務会計事務所の代表税理士の池田俊文氏の著書『50歳からの相続・贈与の本』(駒草出版)の中から一部を抜粋し、大切な家族と財産を守るための相続や贈与に関する法律知識や税金知識を幅広く紹介します。

息子が離婚をしても、息子の嫁との養子縁組は継続

息子の父母が息子の嫁と養子縁組後、息子と嫁が離婚した場合、離婚届を出すことで養子縁組が解消されたわけではありません。なぜなら養子縁組をしたのは、息子の親と息子の嫁だからです。

 

もし、夫婦双方で息子の嫁と養子縁組をしていたら、息子の離婚と同時に夫婦そろって養子縁組解消の手続きをする必要があります。父親または母親の一方が養子縁組を解消しても、片方の縁組は解消されたことにはなりません。

 

養子縁組を解消しない場合、別れた嫁に財産が渡ることで相続が“争続”になる可能性があります。息子と別れた嫁が父母と仲がいい場合は、遺言書で財産分けをするのが好ましい対処の仕方と考えます。

 

【図表 父母が息子(長男)の嫁と養子縁組後、息子が嫁と離婚した場合】

再婚相手の連れ子に相続権はないが…

再婚した相手は、婚姻届が出ていれば当然に配偶者相続人となります。従って、常に相続人となるので、法定相続分は相続できます。では、配偶者の連れ子に相続権があるかというと、血縁関係が何もありませんから相続権はありません。

 

配偶者の連れ子に相続権を与えるには、養子縁組をする必要があります。配偶者の連れ子を養子縁組した場合、連れ子の養子は法定相続人の数に制限はありませんし、基礎控除や生命保険金の非課税額の控除が受けられることになり、相続税が少なくなります。ちなみに、養子縁組していない連れ子に財産を取得させるには、遺言する必要があります。

 

離婚した相手の連れ子を養子にしていた場合、連れ子の面倒をそのまま見ている場合は何も問題ありませんが、離婚した相手と連れ子が一緒に出て行った場合は、養子縁組解消の手続きをとっておく必要があります。というのも、離婚したからといって養子縁組が解消されたわけではないからです。

本連載は、2015年12月17日刊行の書籍『50歳からの相続・贈与の本』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

50歳からの相続・贈与の本

50歳からの相続・贈与の本

池田 俊文

駒草出版

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