考えることは基本的に誰でも同じだが・・・
今、あなたは二〇二〇年という年をどう見ているでしょうか。多くの人が思い浮かべるのは、東京オリンピックではないでしょうか。私の頭の中に浮かんでくるのも、みなさんと同じことです。
インターネット環境がさらに革命的に進化していくかもしれない。iPS細胞がもっと世界で普及するだろう。考えることは誰でも同じだと思います。そのなかで、どのような会社が伸びていくかということを独自の視点で考えるのです。
差が出るのは、そのための情報収集の部分です。これらのテーマに関連する情報をどれだけピックアップし、未来予測に役立つより詳しい情報にたどり着くことができるかという点が分かれ目になります。頭のどこかにそういう意識があれば、書店めぐりをしても思いもよらない情報に出合うことができます。この意識が、まさしく元CIAのスコットがいっていたとおり、「みんなと同じ情報のなかから大切な情報だけをすくい上げられる」第一歩です。
「東京オリンピック」という情報からどう展開するか?
実際に、私が出会った情報をご紹介しましょう。頭の中に東京オリンピックというコンテンツが入っていると、オリンピックが開催されるまでにどの地域が開発されるのだろうかということがぼんやりと浮かんできます。その意識をもって書店の棚を見れば、目指すべき本や雑誌が浮かび上がって見えるのです。
最近見つけたのは『東京大改造マップ2020 6年後の東京をひと足先に歩く』(日経BP社)というムック本です。雑誌を開くと、まさに私が見たかった情報が出ています。これを見ると、これから二〇二〇年にかけて最も開発が進むのは、日本橋、銀座から虎ノ門、六本木にかけての地域になると書いてあります。当然、この地域の地価は間違いなく上がります。もしも実際の地価が十分に安ければ、投資行動につながるというわけです。
ムックは、そのほかに有力な地域として品川周辺を取り上げています。
「羽田空港の国際線発着枠が大幅に増えることで、電車で一五分もかからない品川駅の重要性が高まること」
「品川駅と田町駅の周辺を、国が『特定都市再生緊急整備地域』と定めたこと」
「品川駅と田町駅の間に新駅ができること」
「リニアモーターカーが通る可能性があること」
こうした情報をもとに、品川周辺の開発が進むと書いてあります。それほど遠い未来ではなく、二〇二〇年という予測可能な未来に開発されることが決まっているという情報を手にすれば、これからマンションを買おうとしている人であれば品川周辺を買えばいいということにつながります。実際、二〇一三年に最も値上がりしたのは、北品川だったそうです。
さらに、品川周辺の開発は三井不動産と住友不動産が中心になって進めています。長期的に見れば、どちらの企業の株価も上がると考えられます。その時点で、両社の株価が買うに値する水準だと判断すれば、投資を実行することにつながるのです。
ただし、本書が刊行される時期には、この情報はすでに古くなっていますので注意してください。古いといっても、新たな説にとって代わられるとか、そういうことではありません。ただ、既に多くの人が知るところとなっており、新奇性のある情報ではなくなっているという意味です。継続的に情報を集め、常に新鮮な情報をファイルにしておくことが必要です。