親が亡くなったあと、家を売るにも貸すにも遺品の片づけや清掃が必要になります。今回は弘中純一氏・小谷みどり氏・横尾将臣氏監修の『いざというときに困らないために 今から考える 実家じまい・墓じまい』(ナツメ社)から、親族と早めに話し合っておきたいテーマでもある「遺品整理」についてご紹介します。
家を売る前・貸す前には片づけが必要
親が亡くなる前の片づけは、「生前整理」ですが、亡くなってからの片づけは「遺品整理」といいます。親が賃貸に住んでいた場合は、そのままにしておくと家賃が発生するので、できるだけ早めに家財を整理する必要があります。
持ち家なら急いで片づける必要はありませんが、売却する、もしくは賃貸に出すと決まった場合には、やはり早めに遺品整理をしたほうがいいでしょう。
買い手や借主が決まるまで、家具などを置いたままにしている人もいますが、片づけたほうが内覧(物件の購入や賃貸契約の前に、内部を見学すること)の印象はよくなります。とくに賃貸に出す場合には、引き渡し前に室内のクリーニングが必要になるので、早めの片づけが求められます。
片づけに時間がかかる理由
一般的に高齢になるほど、また広い家ほど物がたまりがちなので、実家の片づけは大変です。家一軒分に大量に残された物を一つ一つ見て、「いる」「いらない」を決めていき、さらに自治体のルールに従って分別し、梱包し、正しい方法で処分しなければなりませんから、思った以上に時間と手間がかかります。
時間がかかる理由の一つは、持ち主の意向を聞けないので、捨てていいのかどうか迷うという点にもあります。それに思い出の詰まった物ばかりなので、手に取っているうちに、懐かしくてつい手が止まる人も多いようです。とくに写真や手紙類、親が大事にしていた物などは、簡単に「捨てる」という決断ができず、時間がかかってしまいがちです。
ですから、全部自分でやろうとせずに、できる部分だけを片づけましょう。一部だけでも整理するとグリーフワーク(死別などの深い悲しみから立ち直るプロセス)になるかもしれません。その後、自分では難しい片づけや物の処分を、業者に依頼するのがおすすめです。
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一級建築士事務所アルド住宅研究所主宰・宅地建物取引士
国立大学建築工学科卒業後、一部上場企業にて一戸建てハウジング事業の開発プロジェクトに、その後、建築事務所にてマンションの内装プレファブシステムの技術開発に従事する。独立して建築事務所を立ち上げ、住宅の設計、施工、リフォーム、売買などの業務を行う。現在は、設計、不動産売買、投資、賃貸、リフォームなど住まいのコンサルティングをメインに活動。Webサイトで住宅・不動産に関する記事を執筆。ホームページにて、情報発信や住宅に関する無料相談を受けている。
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一般社団法人シニア生活文化研究所
代表理事
1969年大阪生まれ。奈良女子大学大学院修了。第一生命経済研究所主席研究員を経て、2019年より現職。専門は死生学、生活設計論、葬送関連。大学、自治体などで「終活」に関する講義や講演多数。11年に夫を突然死で亡くしており、立教セカンドステージ大学で配偶者に先立たれた受講生と「没イチ会」を結成。著書に『お墓どうしたら?事典』(つちや書店)、『〈ひとり死〉時代のお葬式とお墓 』(岩波新書)、『没イチ パートナーを亡くしてからの生き方』(新潮社)など多数。
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メモリーズ株式会社
代表取締役
ラガーマンであり、サックスプレーヤーという異色の経歴を持つ。祖母が入浴中に亡くなったことをきっかけに、遺品整理の必要性を感じ、遺品整理の専門業者・メモリーズを設立し現在に至る。NHK「プロフェッショナル 仕事の流儀」でも紹介され、話題に。核家族や少子化が進むにつれて、需要は飛躍的に高まっている。「葬儀は肉体的な別れ、遺品整理は精神的な別れ」と考え、遺品を整理するだけでなく、悲しみに暮れる遺族の心も整理する。
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