平均購入単価を引き下げる効果がある「ナンピン買い」
相場に追随して買い増していく方法に「ナンピン買い」があります。「トラッキングトレード」と似ている面もありますが、抱えるリスクは大きく異なります。
相場が上がると思って買ったのに、逆に下がってしまった場合、裁量取引には「ナンピン買い」という方法があります。
「ナンピン買い」とは下図のように、相場が下がるたびに買い増していく投資手法です。たとえば、①のところで相場が反転すると予測して1ドル=100円で1万通貨買ったとします。しかし、予想は外れ、そのまま下落が続きました。そのままでは、1ドル=100円に戻るまで含み損はゼロになりません。
そこで、②の1ドル=98円のところで1万ドルを買い増し、さらに下がったため、③の1ドル=96円で1万ドルを買い増ししました。
結果、1ドル100円で1万通貨、98円で1万通貨、96円で1万通貨の合計3万通貨保有していることになります。平均購入単価を計算すると98円です。
このようにナンピン買いは、平均購入単価を引き下げる効果があります。当初は1ドル=100円まで戻らなければ、含み損は解消できませんでしたが、ナンピン買いを実行した結果、98円まで戻れば含み損を解消することができます。
下がった相場が戻らなかったら・・・?
相場が下がったら買い増しして、戻りを待つという点は「トラッキングトレード」と似ているように思うかもしれません。
では、相場が戻らなかった場合はどうでしょう。ナンピン買いでは含み損が一気に膨みます。1万通貨であれば、1円の下落で1万円の含み損が増えるだけですが、3万通貨なら3万円の損失が膨らみます。ナンピン買いは、相場が大きく変動すると強制決済されてしまうリスクがあるのです。
その点、「トラッキングトレード」は、損切りをしながら相場に追随していくので、含み損が際限なく拡大することがありません。